mRNAレベルではどうでしょうか。mRNAの段階で変異型のほうが不安定で細胞内ですみやかに壊されることもあるかもしれません。
もしmRNAレベルでは差異がないならば蛋白質レベルということになります。
変異型蛋白質は正常な高次構造形成に失敗して合成過程で失敗作として速やかに分解除去されているとか(大腸菌等と異なり、高等動物では、変な蛋白質を送り出さないような精巧な機構が非常に発達しています)、あるいは高次構造が正常とことなるため、たとえそうした合成過程での監視をのがれても、かたちが普通とちがうので異常蛋白質として認識されてすぐに分解されやすくなっているとかが考えられると思います。アミノ酸1個ちがっても、その部域が高次構造形成に重要なところならば、そういうことは起こります(変異があれば全部そうというわけではないけど、とりあえず変異部位の場所次第です)し、そういうことで起こる病気もいくつかあったとおもいます。広義のloss-of-functionに入るのかもしれません。
分解されずに逆に細胞内で凝集して不溶化する(異常蛋白質だが分解除去されにくくなり蓄積する)場合もあります。これはこれで細胞にとってはかなりストレスになりますが(そういう病気ありますね)、このような場合、難溶性ゆえに、細胞から蛋白質を抽出する際のlysis bufferの種類によっては十分に可溶化出来ず、遠心すると沈殿に行ってしまい、分析対象から逃してしまう可能性があります。その可能性があるならば高濃度のSDSなど強力な可溶化剤を含むbufferを選択した方がいいです。
合わせて細胞の蛍光免疫染色を実施してみてください。そうした生化学分析の弱点を補完するうえでも、局在の情報を得るうえでも大切とおもいます。
6664-3が言うようなエピトープの問題も否定できないので、WB、ICCともにポリクローナル抗体の方がよいかもしれません。さらに慎重を期すならば認識部位の異なる2種の抗体を使用するとかも検討ください。
簡単な実験でいろいろおもしろいことが出来るとおもうのですが、たとえば6664-4の提案するような実験も重要な情報をもたらすとおもいます。培地にMG132とかlactacystinのようなプロテアソーム阻害剤(厳密にはそれ以外にも標的はあるらしいけど。)を添加して一定時間培養してからサンプリングしてみてください(そういう実験は論文しらべればたくさんありますので詳細はそれを。)。見えなかった変異蛋白質が見えてくる可能性があります。この場合ユビキチン化された高分子量体として検出されるかもしれません。さらにほかのプロテアーゼ阻害剤(リソソーム系のとかに対するものとか)も試して見るとよいかもしれません。
いずれのケースかはわかりませんが、この研究の鍵になる重要なデータとおもいますので、今後の展開の仕方について、学会などでその方面の専門家の方のアドバイスを仰いでみてください。 |
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