蛋白質ごとに極性アミノ酸の組成は異なるので、個々の蛋白質全体の(分子表面の)プラスあるいはマイナスの電荷もそれぞれで異なります。非常に弱くチャージしているものから強くチャージしているものまであります。いずれもイオン交換樹脂に結合したとしても, そのあと流すbufferの塩濃度を上げて行くと前者の方が低塩濃度ですみやかに、また後者は高い塩濃度になるにつれてようやく離脱します。よって溶出は塩濃度を段階的に(ステップワイズ溶出)あるいは時間とともに徐々に上げていくプログラムで行われ(濃度勾配溶出)ます。塩濃度が増加するにともない溶け出してきた画分を順次、経過的に回収します。個々の蛋白質でカラムから離脱するのに要する塩濃度がことなるので、結果としてそれぞれは異なる画分に溶出してきます。もちろん荷電状態が似たような蛋白質はたくさんあるので、実際には一つの画分には複数の(多数の)種類の蛋白質が含まれています。とくに精製初期の純度の低いサンプルでは顕著です。ゆえに組織や細胞の抽出物からイオン交換カラムの1段階の精製だけで目指す蛋白質がほぼ単一まで精製されることは現実にはほとんどありません。通常は分離原理のことなる複数のクロマトグラフィーを組み合わせる事で段階的に精製をすすめていきます。 |
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