ベクターバックボーンの変異がどのくらい問題になりうるか、対策にコストをどれだけかける価値があるか。
費用対効果が合理的と考えるか非合理的と考えるかによって、ひとそれぞれの見解があるだろうし、その考え方を理解もできる。それを尊重せずに一概に間違いだというのは、先入観にとらわれ、深く考えもせず、教条主義になっているだけではないか。そういう硬直した考え方こそ、科学者・研究者の資質として問題があると思ってしまうがな。
バックボーンに変異が起こったときに問題になることはなんだろうか?
・プラスミドの増殖に支障をきたす→そういう変異体は増えないから拾ってしまう可能性は低い。変異があっても増えてくれればバックボーンの役目は果たしている。
・バックボーンの変異がたまたま導入遺伝子のパフォーマンスに影響を与えるかもしれない(発現調整的な?)→絶対ないとは言い切れないがかなり稀でしょっちゅう起こるとは考えにくい(そんな事例にあたったら、それで一本論文が書けてラッキーなくらい)。またもしそれを心配するなら、大腸菌で増やしたプラスミドにだって確率は違えど変異は起こるのだから、たまたま拾ったクローンがそういう変異を持っている可能性だってある。それを言い出したら乗せ変えたプラスミドだって全長シークエンスすべきだよな。もとのベクターに乗せかえることで意図せぬ変異がはいる確率は減るかもしれないが、絶対ないとは言い切れないもんな。
所詮は程度の問題。その確率を無視できる程度、問題になることはまずないと考えるか、わずかでも可能性があるなら徹底的にチェックすると考えるか(コスト度外視で)、ちょっとでも確率を下げられて手間や費用がそれほどでもなければ対策したほうが安心と考えるか、どれが正解ということもなかろう。 |
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