>GFPを一緒に導入した場合、GFP陽性であれば、残り二つのプラスミドも導入されていると言えるでしょうか?
GFPとRFP発現plasmidを一緒に導入してみると良いです。
私の経験では、遺伝子導入効率の低い細胞では同時導入されないこともあります。
また経験が少ないのでこの現象が遺伝子導入試薬にも依存するか否かは判りません。
遺伝子導入効率の高い細胞・条件(>70%:浮遊CHO細胞)では、GFPとRFPの割合を1/5にしても同時導入されます。1/10程度だと1/1の条件の1/5-1/3の割合に落ちます。
>カチオニックリポソームが内側にプラスミドをパッケージする
いろいろなフォームがあります。脂質二重膜が多層になり層の間にplasmidが取り込まれるもの、細かい脂質小胞がplasmidを取り囲む様になるものなど。どちらにしろ複合体には多数のplasmidが包含されていると思います。このような形態の違いにより、遺伝子導入効率の重要な因子の一つであるendocytosisされやすさ、脂質からplasmidの放出等の効率が異なってくると思われます。細胞によってendosome/lysosomeでの核酸分解活性が異なるそうで(HEK293は非常に弱いらしい)、これも導入効率に影響する因子です。これらが複合的に作用すると「遺伝子導入効率の低い細胞では同時導入されないことがある」理由となり得ると思います。
接着細胞の場合、遠心する(磁性体をいれて磁力で引っ張る)と遺伝子導入効率が上がることから、複合体が細胞と接触しやすくすると導入効率があがります。このため複合体がある程度の大きさになり沈降しやすいようにしている試薬もあります。ただし複合体が大きすぎる(複合体形成時間をとても長くする)とendocytosisされない・毒性が上がるようです。
PEIにはDNAを凝縮しNucleaseから保護する作用・正荷電複合体を作り細胞膜へ接着しやすくする作用(endocytosisを誘導する)・endosomeでの酸性化を防ぎNucleaseから保護しつつendosomeを機能阻害しendosomeを破壊する(内容物が細胞質に放出される)作用があります。DNAがPEIから放出される場所(核と思われている)やPEIが細胞内でどうなるかは不明です。
なお、全部plasmid DNAではなく1~数kbに切断したsalmon sperm DNAに1/3-1/2ほど置き換えてもさほど導入効率は落ちないようです。 |
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