mouse IgG1,k isotype controlとして広く使われているMOPC-21はマウスミエローマ細胞が産生する抗体で、特異性はわかっていません。抗原選択を受けていないナイーブレパートリーの中の一つのB細胞ががたまたまミエローマ化により抗体が大量に取れ、実験的にもなにも染めない(正確には「バックグラウンド染色が他の抗体と比べて最低レベルを示す」)のでisotype controlとして使っているということだと思います。他のisotype controlも、結果的に何も染めないというunkown specificityの抗体です。実は何かに反応するという可能性も無きにしも非ずですが、まあ大丈夫でしょうという感じです。
むしろ「バックグラウンド染色が他の抗体と比べて最低レベル」という選び方から来る問題があります。実はモノクロナール抗体の非特異性結合のレベルは同じisotypeでも各クローンによって違いがありますので、市販isotype controlを基にpositive, negativeを機械的に引くとnegativeの山が範囲から飛び出てしまうことがままあります。intracellular stainingなどは特に非特異的結合の差は顕著ですね。反対に、ごくまれにisotype controlより非特異的結合が低い抗体もあり、オーバープロットを出すと少し滑稽に見えます。そのため、isotype controlも絶対視はせず、気休め的なものとみなしたほうがいいと思います。 |
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