原則として、染色の強さによって定量するのは誤りで、染色はあくまでもタンパク質発現の局在を示すものでしかないと理解しています。
DAB染色にしろ蛍光染色にしろ、固定条件・保存条件(保存してからの時間も含む)・染色条件・撮影条件によって、染色強度は全く異なってきますからね。
特に臨床検体では、固定条件や保存条件を完全に同じにすることは困難ですから、パラフィン切片でも昔の検体だと全く染まらないということがしばしばあります。
固定条件・保存条件のばらつきや影響が少なければ、組織アレイを作って染色するのがお勧めです。組織アレイなら染色条件・撮影条件は均一になりますから、染色の強度をブラインドで3人の病理医に0,1+,2+,3+かを判定してもらうなどすれば、一応強度でも比較可能です。
陽性と陰性がはっきりわかれるような抗体でしたら、陽性細胞数と陰性細胞数の比率や、陽性部位の面積などで比較は可能だと思いますが、あくまでも発現強度ではなく発現細胞数・面積の比較です。
いずれにしろ、染色というのは、こういう条件でこの抗体を使ったら色が付いたという事実を述べているにすぎませんから、ウェスタンによるタンパク質定量やqRT-PCRによるmRNA定量などにより多角的に攻めるのがよいかと思います。 |
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