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ドミナントネガティブとハプロ不全について トピック削除
No.5087-TOPIC - 2016/05/22 (日) 16:57:09 - 学部学生
いつも実験の合間に参考にさせてもらっております。

基本的なことかもしれないですが、自分の専門外なので色々調べたのですが、よくわからなかったので教えて下さい。
p53は一方のアレルの変異でドミナントネガティブの機構で作用することが知られていますが、ハプロ不全でも作用するとの説明を授業で受けました。
p53の場合は4量体を形成するので、ドミナントネガティブで働くのが普通だろうと思っていましたし、Li-fraumeni症候群もおそらくその機序だと聞いたことがあります。
ただgoogle等でハプロ不全でp53が働くというようなことを研究されている方もいらっしゃるようですが、多量体で働くタンパクが一方からの正常アレルの転写量で充分でないというのに違和感を感じます。
自分の意識では、単量体で働く場合にハプロ不全のためと言えると思っていました。
私の質問は、p53がハプロ不全で働くのはどういうことなのか?を教えてほしいというものです。
どうぞよろしくお願いします。
 
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(無題) 削除/引用
No.5087-15 - 2016/05/24 (火) 12:47:08 - AP
さらに余談です。
>dominant negativeというのはある遺伝子の特定のalleleの性格を形容する言葉、

全くその理解で良いと思いますが、もともとは遺伝子のサイレンシングを起こす手段として出てきて作られた用語だったと記憶します(Herskowitzの総説というのがそうだったかしら?)。

RNAiもCRISPR/Casもなく、内在性の遺伝子を潰す方法はKOか(あまりreliableとは言いがたい)アンチセンスのTGという時代の話。KOはまだまだ特殊技能でそう今以上に困難(ポスドクのミッションが任期中に一遺伝子のKO系統を作出するだったり)だったけれども、TGとかトランスフェクションとか外来性の遺伝子を入れるのは比較的容易だったわけです。しかしそれでは原理的に、遺伝子を足すことはできるけれど、内在性の遺伝子を抑えるというのはできません。それを可能にする概念がdominant negativeである、という話だったように覚えています。

(無題) 削除/引用
No.5087-14 - 2016/05/23 (月) 22:23:04 - 小言幸兵衛
マラーほど由緒正しくはありませんが、dominant negativeというコンセプトを広く紹介したHerskowitzの総説が出てそろそろ30年なので、新参者とはいえこの言葉にもそれなりに旧びがついてきているように思います。

さて、皆さんの説明で解決に近付いているようですが付け加えさせてください。dominant negativeというのはある遺伝子の特定のalleleの性格を形容する言葉、haploinsufficientというのはalleleの性格について形容する言葉ではなく、ある遺伝子がヘミ接合でloss of function型の表現型を示すという、その現象、もしくは遺伝子のそういう性格を形容する言葉で、この2つの言葉はカテゴリーが違います。

(無題) 削除/引用
No.5087-13 - 2016/05/23 (月) 12:04:37 - おお
なぜポイントミューテーションに限っているのかよくわかりませんが。。。

ポイントミューテーションだけとっても、ミューテーションでいろいろなことが起こる可能性があります。mRNAが合成されない、mRNAがすぐに分解されてしまう、蛋白が合成されない、蛋白の安定性がない、など。蛋白の機能がないという場合もありますが、p53の場合その無くなった機能がドミナントネガティブに働くこともあります(働かないこともあるでしょうけど)。

(無題) 削除/引用
No.5087-12 - 2016/05/23 (月) 11:33:39 - 学部学生
AP様

なるほど、わかりました。
ドミネガはpoint mutationに対してですね。改めて図書を読み直してそう感じました。
一方ハプロ不全は発現していないので、量的に足りる・足りないの議論なんですね。
そもそもp53に発現しないパターンとpoint mutaionでloss of functionのタンパクが発現する場合があるっていうのを考えていなかったです。
自分の意識ではp53は後者しかないと思っていましたから。

助かりました。

(無題) 削除/引用
No.5087-11 - 2016/05/23 (月) 11:10:47 - AP
ああわかった。あなた勘違いしていると思いますよ。

ドミナントネガティブ(わたしこの新参者の言葉、下品できらい。由緒正しきアンチモルフを使いたい)はポイントミューテーションなどで正常型パン白質を競合阻害してしまうような場合。

haploinsufficientであるというのはnullアリルでタンパク質自体全くかほとんど発現しない場合。遺伝子の欠失やプロモーターの破壊など。

p53にはポイントミューテーションによるDN効果のあるアリルがあるが、nullアリルだとhaploinsufficient効果が見られる、ってことでしょう。ひとつの遺伝子でも突然変異のスペクトラ多種多様です。

ちなみにhaploinsufficientの原義はハプロイド、つまり遺伝子が1コピーしかないときは不十分ということです。DNのアリルは遺伝子として存在しているわけですから、これと野生型のヘテロ接合体はハプロではありません。

(無題) 削除/引用
No.5087-8 - 2016/05/23 (月) 10:58:57 - 学部学生
そうしますと、ハプロ不全の概念の方が広く、ドミネガの方が小さいという認識で良いのでしょうか?

(無題) 削除/引用
No.5087-7 - 2016/05/23 (月) 10:48:17 - おお
要するに、遺伝子が半分でなら、同じ細胞の状態であれば、タンパク質も半分で、その状況で細胞内の4量体の量も少ないですし、単量体の量も少ないでしょう。単量体が機能するかどうか以前の問題です。

(無題) 削除/引用
No.5087-6 - 2016/05/23 (月) 09:08:21 - 学部学生
AP様

ハプロ不全の丁寧なご説明ありがとうございました。
ハプロ不全自体は私もそのような理解をしていました。
ただp53のようなドミネガでも働くし、ハプロ不全でも働くというのがイマイチピンとこず質問しました。

中年様

p53は4量体で働くという風に学びました。
4量体で働く場合、全てのサブユニットが正常でなければ機能しないので、ドミネガで働く。
この場合、一方のアレルからの発現で十分・不十分とかいう議論にならないと思い、ハプロ不全と考えることがイマイチピンときません。
もちろん4量体で働くので、遺伝子量が理論上1/2にならなくても3/4でも充分ではないのでハプロ不全の一つだと言われればそうかもしれませんが。
ハプロ不全とドミネガが別概念なのも分かっています。
そうすると、ドミネガで働く多量体タンパクは全てハプロ不全にもなるのか??って思います。
授業でもp53がその例としか示されていなく、他にも多量体で働いているがん抑制遺伝子があってもいい気がするのですが・・・

おお様

p53は4量体でも単量体でも機能するということでしょうか?

(無題) 削除/引用
No.5087-5 - 2016/05/23 (月) 02:59:00 - おお
4量体の量が少ないとその効果も弱いということでしょう。

(無題) 削除/引用
No.5087-4 - 2016/05/22 (日) 22:40:05 - 中年
APさんのご説明で全てが尽くされているように思いましたが、トピ主さんのご質問の内容に趣旨のわからない点があったので確認させてください。

> 多量体で働くタンパクが一方からの正常アレルの転写量で充分でないというのに違和感を感じます。

とありますが、なぜそうお考えでしょうか。発現量が十分でないために十分な機能を果たせないのは、その産物が単量体で機能しようが多量体で機能しようが変わりがあろうとは思えないのですが(というか、そう考えるのが自然だと思うのですが)。

(無題) 削除/引用
No.5087-2 - 2016/05/22 (日) 19:45:12 - AP
haplo insufficiencyは単純に遺伝子量十分でないということです。すべての遺伝子が正常遺伝子1コピーだけで十分な発現量をまかなえるとは限らないということ。

ただし、がん抑制遺伝子のような場合、ストーリーにひとひねりあるかもしれなくて、

・ゲノムや細胞の安定性(修復機構)なんかに関与している遺伝子だと、がん化を引き起こすようなストレスがかかっていない平穏無事なときは、仕事が忙しくないので1コピーでも十分かもしれない。それだけを見ればhaplo sufficient。しかし、ある一定の発がん性刺激を受けた場合、2コピーあれば乗りきれるところ1コピーでは発がんしてしまう。こういう視座からみるとhaplo insufficient。

・1コピーしか正常ながん抑制遺伝子がない場合、体細胞突然変異でそれが壊れることでたやすくがん化を起こしうる。一兆個だかある細胞のどれかにそれがおこるという確率は決して少なくはないので、遺伝子の1コピーが壊れているということが高い確率で発症(表現型の発現)をするかもしれない。あたかもhaplo insufficiencyのように。

ドミナントネガティブとハプロ不全について 削除/引用
No.5087-1 - 2016/05/22 (日) 16:57:09 - 学部学生
いつも実験の合間に参考にさせてもらっております。

基本的なことかもしれないですが、自分の専門外なので色々調べたのですが、よくわからなかったので教えて下さい。
p53は一方のアレルの変異でドミナントネガティブの機構で作用することが知られていますが、ハプロ不全でも作用するとの説明を授業で受けました。
p53の場合は4量体を形成するので、ドミナントネガティブで働くのが普通だろうと思っていましたし、Li-fraumeni症候群もおそらくその機序だと聞いたことがあります。
ただgoogle等でハプロ不全でp53が働くというようなことを研究されている方もいらっしゃるようですが、多量体で働くタンパクが一方からの正常アレルの転写量で充分でないというのに違和感を感じます。
自分の意識では、単量体で働く場合にハプロ不全のためと言えると思っていました。
私の質問は、p53がハプロ不全で働くのはどういうことなのか?を教えてほしいというものです。
どうぞよろしくお願いします。

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