plasmidベクターの場合、選抜にあたって2つの検討事項があります。
(1)薬剤が効いてくる(細胞が死滅する)時間:無処理の細胞で有効薬剤濃度を調べてみると判りますが、G418だと5-8日、ハイグロマイシンで3-5日、ブラストサイジンSで2-4日、ピューロマイシンで2-3日掛かります。このためピューロマイシン耐性遺伝子やブラストサイジンS耐性遺伝子を選択マーカーに使うと細胞が増殖しすぎる前に遺伝子導入細胞の選択が可能です。ただし安定発現細胞の選抜のためにはもう少し長期間薬剤選抜する必要があります。
(2)plasmidDNAが染色体に組み込まれる時間:リポフェクション等で導入したplasmidはほとんどが染色体外に存在し(数十~数百分子/細胞)3-7日で徐々に分解されて減少します。そのうち極一部のDNAが染色体に組み込まれます。その際線状になったplamid DNAが増幅することがあります(組み込まれた後か先かは不明)。
もちろん安定して遺伝子発現するには、メチル化などの不活性化が起きないことも重要です(月単位の継代培養で問題になってきます)。あるいはIRES-(薬剤耐性遺伝子)という構成にするのも有用です。
これらの欠点があるため、GFPタンパク発現ユニットを有したレトロ(レンチ)ウィルスベクターで目的遺伝子を導入し、2-3日後蛍光を指標に目的タンパク発現細胞をソーティングすることも汎用されています。GFPタンパクと薬剤耐性遺伝子との融合遺伝子を利用する方法もあります。
これらのことは様々な実験書に記載されていまし、市販のベクターも数多いです。 |
|