NFkBやp38MAPKの阻害剤についてはあまり知らないのですが、私がこれまでにかかわった阻害剤の場合には、必ずしも王道があるとは言えないように思います。例えば、RAF-MEK-ERK MAPK経路の阻害剤の場合、経路に含まれる各タンパクそれぞれに複数の阻害剤が存在し、ノックアウトマウスもそろっています。第1世代のMEK阻害剤を使って今論文を投稿すれば、レフェリーに文句をつけられる可能性が高いですし、第2世代でも特異性についてコメントがつくリスクがあるので、第3世代あるいは臨床応用されている阻害剤を使う事がほとんどになっています。PI3Kの阻害剤についても似たような状況になりつつあり、第1世代の阻害剤を論文投稿用に使う機会はめっきり減りました。RAFの阻害剤の場合は、複数の阻害剤で共通してみられる現象から、臨床現場で注意すべき副作用が明らかになったりしており、基礎研究であっても複数の阻害剤を用いて検討した論文が結構あると思います。
p38MAPK阻害剤のSBはかなり昔からある阻害剤だと思うのですが、いまだにこれを使った研究が主流というのは、ちょっと驚きです。確かアイソフォーム特異的な阻害剤が複数、臨床試験にかつて乗っていたような記憶があるのですが、基礎研究では使われてないのでしょうか? 新規のアイソフォーム非特異的阻害剤もありそうですけどね。
NFkB阻害剤については、本当に何も知らないので不確かですが、BAY11-7085についてちょっと調べた感じでは、IC50が結構高いようですね。なので、この阻害剤単独で積み上げられたエビデンスというのも、ちょっと心もとない感じがします。遺伝学的なアプローチを併用した方がよいのかな、という印象です。 |
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