別のキットの、しかもプラスミド用の、バッファーでうまくいくとは思えません。似た組成でも、それぞれ最適化が異なるので、やめたほうがいいです。本来RNA精製用のカラムシステムは、RNAを担体に吸着させた状態でDNAを洗い流すように条件設定されているんですから、逆にプラスミドを吸着精製するシステムの洗浄バッファーを使うって、思い切ったことしますね。
先日、トピに取り上げたのですが、Trizolのような従来の液相分離タイプの後続型で、上清と沈殿に分離するタイプのRNAzolやIsogen 2といった製品が出てきています。まだ使ったことはないのですが、不純物が沈殿として分離できるので、従来タイプよりDNAのコンタミが格段に低いようです。成分は従来タイプと大きな違いはないようですが、クロロフォルムを入れるのではなく水を入れるところがミソです。加水の条件さえ最適化すればTrizolを使っても同じことができるんじゃないかと、私は思っています。
DNaseが必要かカラム精製が必要かは、とったRNAでどんな実験するかによります。DNase処理は必須のものではなく、RNAにもダメージを与えうるし、ダウンストリームに持ち込みたくない成分が加わるので、不必要なときはむしろやらないほうがいいくらいです。TrizolだってDNAとRNAの差次的抽出によってDNAはかなり除けます。不十分だったら、一旦精製したRNAに対して、再度Trizol精製をかけるんだっていいと思います。
DNase処理など、さらなるDNA除去が必須でないシチュエーションとしては、たとえばRT-PCRのときに
・標的RNAの発現量が十分に高く、コピー数が残存しているゲノムDNAを桁違いに上回っていれば、ゲノム由来のPCR産物は無視できる程度かもしれない。それはRTを省いたコントロールをとってみれば検証可能。
・ゲノム上でイントロンをまたぐようなPCRならRNA由来のPCR産物とDNA由来のそれが区別できる。区別さえ出来れば、問題ない実験もある。また、イントロンの分、長くなった鋳型は、イントロンのないcDNAを鋳型にしたものと競合したとき、増えが悪いとか、検出できるレベルまで増えてこないとかで、問題にならないかもしれない。 |
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