培養細胞にActinomycin Dを添加して転写を阻害したときの継時的な遺伝子発現量の変動を、リアルタイムPCRで解析しています。
現在、逆転写反応の有無に関係なく遺伝子の増幅が検出されしまい、困っています。
考え得る原因や次にとるべき方策をお教え頂きたく、トピックを作成させていただきました。
以下に詳細を記します。
テンプレートには、RNeasy mini kit(QIAGEN)を用いて培養細胞から抽出したtotal RNAを、RNA to cDNA kit(Applide)を用いて逆転写させ、得られたcDNAを用いました(RT+)。
ネガティブコントロールには、同様に抽出したtotal RNAに、RNA to cDNA kitに添付のバッファー(逆転写酵素は含まない)または水のみを加えたものを用いました(RT-)。
酵素はSYBR Green PCR Master Mix (Applide)を使用しています。
ΔΔCt用のハウスキーピング遺伝子として、GAPDHを用いました。
リアルタイムPCRを行ったところ、
GAPDHでは、RT+のCt値が約15であり、RT-では増幅は認められませんでした。
一方、目的遺伝子では、RT±でCt値に差はなく、約23でした。
そこで、リアルタイムPCR後のPCR産物をアガロースゲルを用いて電気泳動したところ、
GAPDHでは、RT+のみでバンドが検出されましたが、目的遺伝子については、RT±両方で目的の位置にバンドが検出されました。
DNase処理を行っており、イントロンを挟んだプライマーを用いています。また、イントロンを含めた長さの位置にはバンドは検出されていません。したがって、ゲノムDNAのコンタミはないと考えています。
次に、目的遺伝子に対して、forward, reverse共に、前述のプライマーと異なるエクソンにプライマーを作製し、同様にリアルタイムPCRを行いました。すると、RT+と-でmRNA発現に最大2^5の差が付きました(Ct,25と30)。
しかし、PCR後のサンプルをアガロースゲル電気泳動したところ、RT+では、目的の位置(711 bp;バンド1)に加え、前述のプライマーを用いた時と同じ位置(172bp;バンド2)にバンドが検出されました。さらに、バンド1が濃いサンプルほどバンド2は薄く、バンド1が薄いほどバンド2は濃い傾向にありました。RT-ではバンド2のみが検出されました。
ちなみに、バンド2は報告されているスプライシングバリアント由来のバンドでもない位置です。
GAPDH用のプライマーを用いた場合にバンド2は検出されないことから、プライマーのコンタミも考えづらい状況です。
目的遺伝子のみの増幅を検出するためには、どうすればよいのでしょうか。
ご教授、宜しくお願い致します。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 |
|