1kbという長い相同配列を用いた組み換えは経験がないですが、実験計画に懸念がありますので、いくつか質問があります。
Q1.先例となる複数の論文が出ていますが、比較検討したのでしょうか?
Q2.pKDが大腸菌に入る確率がとても低いことを考慮していますか(pUC等の形質転換効率を考えると分かりますよね)。考慮していないならば、pKDを保持した大腸菌を最初に選抜しますか?
なぜ、このような質問をするかというと、もし、PCRスクリーニング出来るくらいの効率(1/100以上?)なら、pKDにいろいろ組み込んだコンストラクト自体が不安定で調製(単離)できない可能性があるためです。
Q3.pKDとはどのような構成のplasmidでしょうか?
薬剤耐性遺伝子と温度感受性oriがあれば、pKDを保持した大腸菌を選抜し、その後組み換えが成功したクローンから、pKDを容易に除去出来ます。
Q4.薬剤耐性遺伝子は使わずPCRでのスクリーニングと書いていますが、組み換わった大腸菌が優先的に増殖する仕組みはあるのでしょうか?これもスクリーニング効率を上げるための重要です。
Q5.ランダムに組み込まれた配列でないことを確認するための方法は考えていますでしょうか?「PCRでスクリーニング」というのがそれに該当するのでしょうか?
クローン化DNAを鋳型にして失敗しないPCR条件(ポジコン)は決定していますか(ぶつっけ本番だと、PCRが成功しない=目的クローンを同定できない可能性があるため)
経験があるのは、相同組み換え領域は(50bp~)100bp程で薬剤耐性遺伝子を利用した方法で導入したDNAはplamidではなく、直鎖状DNA(PCR産物も含む)でした。
(1)薬剤耐性遺伝子をpolycistronicに組み込んで組み換わった大腸菌が目的遺伝子の発現と同時に薬剤耐性になるようにするか、(2)lox66,lox77等で挟んだ薬剤耐性遺伝子発現ユニットも組み込んで選抜後、薬剤耐性遺伝子と温度感受性oriとCre発現ユニットを持ったplasmidで、薬剤耐性遺伝子発現ユニットのみを欠失させる(FLPでも可能)、方法が確実です。(2)の方法なら残るのは組み換え配列の30bpほどです。また二度目の組み換えはほとんど起こりませんので、繰り返し他の領域を標的にできます。
なお、(1)(2)の場合、20クローンほど調べれば目的クローンが単離できました。
薬剤耐性遺伝子と条件致死遺伝子(さらには誘導発現型Cre)を組み込んでおくとよりスクリーニング効率が上がると思います。
なお、REDシステム(組み換え酵素)を併用すると非常に効率が良いそうです。どこかのメーカーにkitが売っていたような? |
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