おおさんAPさん、瑣末な質問にお付き合いいただきありがとうございます。
そうですか、やはり宇宙の法則が乱れてますか…そうするとうちのラボに次元の狭間的な何かができたりして世界が崩壊するのも時間の問題かもしれないですね…。とつまらん冗談はさておき、特にどこでも見られる現象ではないようなので、試薬に問題ありの可能性が高いようですね。
まずアクリルアミドですが、19:1の40%溶液が軒並み1 L 1万円ぐらいする中、amrescoの製品だけなんと3千円程度という破格さなのを目にし、思わずポチってしまったんですが、もしかしたら安いだけあってちょっと粗悪品なのかもしれないですね(データ上はUltra-pure (>99.9%)なんですが。また、amrescoの名誉のために付け加えておくと、実際の核酸の泳動パターンは全く問題なく美麗そのものです)
ただむしろ気になったのが尿素で、Alfa Aesarの製品(98+%)がすこぶる安かったので(といっても10 kg 9千円ぐらいで、アクリルアミドほどの破格感はなかったのですが)これも衝動買いしたんですが、開けてビックリ、尿素の中にチラホラ黒い粒子が混ざっていて、溶解すると溶液が黄色っぽく濁るという代物でした。Alfa Aesarに問い質した所、「その製品は合成用に使うものなのでそんなもんです。必要ならばフィルトレーションすれば良いと思われます」という返事が来たので、実際にフィルターを通して使用し続けています(フィルター透過後は濁りは完全になくなります。極僅か黄色っぽさは残ってる気もしますが)。やや気持ち悪いものの、前述の通り実際の核酸の泳動パターンには問題がないので「まっ、いいか」と気にせず使っているんですが、ひょっとするとこいつが怪しいかもしれませんね。
(ところで98+%ってほぼ純品を意味するものだと思ってたんですが、こんなこともあるんですね。あまり安いものは避けた方がいいのかもしれません)
おおさんのご質問についてですが、あらかじめ述べておくべきだったんですが、よくあるTIPSに則り、普段から空きレーンにはdyeのみをのせています。そしてこのdyeのみのレーンもサンプルレーンと全く同じように移動していきます。なので、よく考えたら溶液塩濃度とかは一切関係無いはずということになりますね。違いはロードのタイミングのみです。不思議です。
またAPSは10%溶液を1/100程加えています。特段多いこともない、標準的な量かと思います。
APさんご指摘のpHについて、早速試験紙につけてみました。
8 M尿素、8%Acryl/Bis (19:1), 0.5xTBE (室温保存)の溶液が、大体pH 8.0かもうちょい塩基性な感じでした。どうなんでしょうね。少なくとも酸性に傾きすぎな感じではないようです。
不純物が邪魔をしているのでは、というのも尤もなんですが、それにしても同じフィールドを走っている同じ色素なのに、一方が他方を追い抜いてしまうというのは道理に合わない気がします。
強引にこじつけると、何らかの不純物Xが、環境が低温の内は色素に結合あるいはアタックして不可逆的に色素の性質を変えてしまうためプレランの色素は移動度が遅い、しかしサンプル添加時には既にゲルが温まっておりXはいなくなっているか反応できないため、サンプル添加時の色素はゆうゆうと素早く移動し続けることが出来る、って可能性ぐらいしかなさそうですね。何の根拠もない、強引すぎる推測ですが…。
色素の移動の様子を動画に撮ってアップすれば、もしかしたら物性化学の方と何かコラボができたり、なんてこともあるかもしれませんが、面倒なんでやめておきます。
何か他にもアイディアお持ちの方がいらっしゃったらいつでも情報お待ちしております。 |
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