Bio Technical フォーラム

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ゲル中の色素 (XC/BPB) の移動 トピック削除
No.3879-TOPIC - 2015/02/21 (土) 14:58:11 - kh
本質的な質問じゃないんですが、ずっと気になっている点があって、最近他の学生に説明する時に「そういえばどういう理屈でこうなってるんだろう」と改めて疑問に思ったので質問させていただきます。

まず前提として8 M尿素入りのPAGEをよく行うんですが(高さ30 cmとか少し大きめのゲル)、泳動にはキシレンシアノール (XC) とブロモフェノールブルー (BPB) を加えたRNA loading dye (95%ホルムアミド) を用いています。
ゲル濃度は8%だったり15%だったりと色々使っていますが、下記疑問点の現象はどの濃度でも見られます。
泳動はスタンダードなプロトコール通り、プレランを30分とか1時間とか流し、その後サンプルをアプライしてまた1時間とか流し続けます(電力は、以前はプレランを少し高めに設定していましたが、最近は設定を変えるのが面倒くさいので同じワット数のまま最後まで流し続けることが多いです。これも、どのように設定しようが下記の現象は見られます)。

本題ですが、まず第一の疑問としてプレラン時の色素の挙動について、いつもXCとBPBが本来あるべき距離よりも断然くっついたまま流れていくんですが、こうなるのは自然なんでしょうか…?(言うなればほとんど同じ移動度で流れていく、ぐらいに。)
その後サンプルをアプライして泳動を続けるわけですが、サンプルに含まれる両色素は最終的に本来あるべき距離に落ち着きます(例えば最終的にサンプル中のXCとBPBが10 cm離れているとすると、プレラン時にロードしたXCとBPBは1 cmしか離れていないというような感じです)。

ここで第二の疑問として、最初の疑問とも関連するんですが、全く同じdyeを使っているのに、サンプルに含まれる色素だけ非常に速く移動していきます(恐らく疑問点1を踏まえると、正しくは逆に「プレラン時の色素の移動度が異様に遅い」んだと思いますが)。
面白い点として、サンプルに含まれるBPBはあまりに速く移動するあまり、長く流しているとプレラン時に添加したBPBを追い抜くことすらあります。全く同じ色素で全く同じ電場がかかっている状況なのに、圧倒的に早く流し始めたプレランのBPBを、サンプルのBPBは追い抜いてしまうのです…!
個人的に宇宙の法則が乱れているとしか思えないのですが、このような現象がなぜ起こるのか理論的に説明を与えられる方はいらっしゃいますでしょうか…?あるいはこの現象が自分の環境だけで起こるのか、あるいは皆さん同じ現象に遭遇しているのか、という点だけでも情報提供いただけると幸いです。

個人的には、プレランはdyeだけ流すのでサンプルよりイオン濃度が小さくて移動がゆっくり、とか、ゲルがまだ温まってないから移動がゆっくり、とか考えたのですが、サンプルのBPBがプレランのBPBを追い抜くというのは、どう考えても何かが破綻している気がしてなりません(ひとたびゲルに入ってしまえば色素単独で流れていくわけですし、同じフィールド上を走っているのだから抵抗やら温度やらは全く同一条件のはずなのに…)。

しょぼい質問のくせして無駄に長々とすみません。最近ずっと気になって夜も眠れないので、何か疑問解決のアイディアいただけると大変嬉しく思います。
 
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No.3879-9 - 2015/02/22 (日) 06:12:52 - おお
http://en.wikipedia.org/wiki/Urea
Basicity (pKb)pKBH+ = 0.18
なのでpH 0.18以下でプロトン化されるんでしょうか。pH8なら全体の1/10^7.8の量がプロトン化しているってことですよね、、、

Ureaをまぜたりして最終的にpH8になっているなら、理論上酸性にシフトしているので、何か酸性イオンが関与しているかもしれませんね。

(無題) 削除/引用
No.3879-8 - 2015/02/22 (日) 05:24:46 - おお
状況からゲルに何か電荷を持ったものが含まれていることが原因かとおもわれます。
ureaがあやしいと思えるならureaぬきでDNAでもながして、同じようにpre run前、後で流してみるといいでしょう。

(無題) 削除/引用
No.3879-7 - 2015/02/22 (日) 05:11:40 - kh
プロトンさんありがとうございます。電気・物性関連の話に疎いので、言われても正直「なるほどそんなこともあるのかもしれないんですね」としか言えないのが申し訳ない限りなんですが、確かに泳動初期にゲル全域に大規模に起こるであろう電荷・pH変化に、色素が不可逆的に何らかの影響を受けているのかもしれないですね(「限られた時期に」「不可逆的に」影響を受けない限り、件の現象は説明がつかないと思っています)。
とはいえ、「何らかの」って何だよ、タンパクみたいな高分子でもないのに色素ごときが不可逆な変化なんて受けますかねぇ、などと言われると、それ以上何も言えないのですが…。

塩基性のpH指示薬というと中学理科でおなじみのフェノールフタレインでしょうか。調べてみると塩基性指示薬って他にも色々あるようですが、どれも手元に無いですし、そもそも面白い現象だと思うしずっと気になってはいるんですが、全く自分の研究の本質と関係無いため、そこまでつっこんで調べる気力はない感じです…。

『APSのようなラジカル発生剤、あるいはアクリル酸といったイオン性不純物、もしくは電場を加えることによるpH変化のいずれかまたはそれらの相乗効果が、泳動初期の色素に何らかの影響を与えているようであるが、詳しい機序は不明である、今後の課題としたい。』と、出来の悪い学生が使いそうな何の具体的な話もないお茶濁し結文でとりあえず満足しておこうと思います。

何か無駄に長々と文章書いた割に全く中途半端でどうもすみません。何か他にご意見ある方いらっしゃいましたら、またいつでも書き込んでいただけると大変ありがたく思います。繰り返しですがお三方貴重なご意見本当にありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.3879-6 - 2015/02/22 (日) 04:13:38 - プロトン
全部読んでませんが、尿素はおそらくプロトン化していますよね。そうすると、それにしたがって、液はOH−水酸基が電離している状態で、これに電場をかけると、かなりの変化がゲル内に起こり始めると思います。RNA(マイナス荷電)とその尿素はある程度(かなり?)複合体を作るでしょうし。BPBは酸性で黄色くなりますから、黄色くたぶんならないと思うのでアルカリ側への変化が起こっているかもしれません。何かのpH指示薬を混ぜれば可視化できるかも。

(無題) 削除/引用
No.3879-5 - 2015/02/22 (日) 03:02:47 - kh
おおさんAPさん、瑣末な質問にお付き合いいただきありがとうございます。

そうですか、やはり宇宙の法則が乱れてますか…そうするとうちのラボに次元の狭間的な何かができたりして世界が崩壊するのも時間の問題かもしれないですね…。とつまらん冗談はさておき、特にどこでも見られる現象ではないようなので、試薬に問題ありの可能性が高いようですね。

まずアクリルアミドですが、19:1の40%溶液が軒並み1 L 1万円ぐらいする中、amrescoの製品だけなんと3千円程度という破格さなのを目にし、思わずポチってしまったんですが、もしかしたら安いだけあってちょっと粗悪品なのかもしれないですね(データ上はUltra-pure (>99.9%)なんですが。また、amrescoの名誉のために付け加えておくと、実際の核酸の泳動パターンは全く問題なく美麗そのものです)

ただむしろ気になったのが尿素で、Alfa Aesarの製品(98+%)がすこぶる安かったので(といっても10 kg 9千円ぐらいで、アクリルアミドほどの破格感はなかったのですが)これも衝動買いしたんですが、開けてビックリ、尿素の中にチラホラ黒い粒子が混ざっていて、溶解すると溶液が黄色っぽく濁るという代物でした。Alfa Aesarに問い質した所、「その製品は合成用に使うものなのでそんなもんです。必要ならばフィルトレーションすれば良いと思われます」という返事が来たので、実際にフィルターを通して使用し続けています(フィルター透過後は濁りは完全になくなります。極僅か黄色っぽさは残ってる気もしますが)。やや気持ち悪いものの、前述の通り実際の核酸の泳動パターンには問題がないので「まっ、いいか」と気にせず使っているんですが、ひょっとするとこいつが怪しいかもしれませんね。
(ところで98+%ってほぼ純品を意味するものだと思ってたんですが、こんなこともあるんですね。あまり安いものは避けた方がいいのかもしれません)

おおさんのご質問についてですが、あらかじめ述べておくべきだったんですが、よくあるTIPSに則り、普段から空きレーンにはdyeのみをのせています。そしてこのdyeのみのレーンもサンプルレーンと全く同じように移動していきます。なので、よく考えたら溶液塩濃度とかは一切関係無いはずということになりますね。違いはロードのタイミングのみです。不思議です。
またAPSは10%溶液を1/100程加えています。特段多いこともない、標準的な量かと思います。

APさんご指摘のpHについて、早速試験紙につけてみました。
8 M尿素、8%Acryl/Bis (19:1), 0.5xTBE (室温保存)の溶液が、大体pH 8.0かもうちょい塩基性な感じでした。どうなんでしょうね。少なくとも酸性に傾きすぎな感じではないようです。

不純物が邪魔をしているのでは、というのも尤もなんですが、それにしても同じフィールドを走っている同じ色素なのに、一方が他方を追い抜いてしまうというのは道理に合わない気がします。
強引にこじつけると、何らかの不純物Xが、環境が低温の内は色素に結合あるいはアタックして不可逆的に色素の性質を変えてしまうためプレランの色素は移動度が遅い、しかしサンプル添加時には既にゲルが温まっておりXはいなくなっているか反応できないため、サンプル添加時の色素はゆうゆうと素早く移動し続けることが出来る、って可能性ぐらいしかなさそうですね。何の根拠もない、強引すぎる推測ですが…。

色素の移動の様子を動画に撮ってアップすれば、もしかしたら物性化学の方と何かコラボができたり、なんてこともあるかもしれませんが、面倒なんでやめておきます。
何か他にもアイディアお持ちの方がいらっしゃったらいつでも情報お待ちしております。

(無題) 削除/引用
No.3879-3 - 2015/02/21 (土) 16:16:49 - AP
プレランはゲルをプレヒートするということに加えて、泳動に干渉する不純物をゲルから流し去るという意義があります。不純物とはアクリルアミドに含まれるアクリル酸などです。
ひょっとすると、プレラン前のゲルにそういったイオン性の不純物が多くて色素、おそらく主にBPB、の移動度が低くなっているのではないでしょうか。BPBは弱酸なのでpHが下がると電離度が下がって電荷が低くなると思います。

アクリルアミドの品質はどうでしょう。あるいはイオン交換樹脂で処理したりしてから使用しているでしょうか。試しにストック溶液のpHをpHペーパーでチェックしてみては。

(無題) 削除/引用
No.3879-2 - 2015/02/21 (土) 15:11:31 - おお
そんな経験はないので、宇宙の法則が乱れているのではないでしょうか。

塩濃度が高いとえいどうが遅れますよね。サンプルをのせるタイミングで、dyeだけをもう一度のせたらどうなりますか?

もしかしたら、ゲルの中の何かの濃度がえいどうバッファーと違うのではないかと。たとえばAPSがけっこうな濃度で入っているとか。

ゲル中の色素 (XC/BPB) の移動 削除/引用
No.3879-1 - 2015/02/21 (土) 14:58:11 - kh
本質的な質問じゃないんですが、ずっと気になっている点があって、最近他の学生に説明する時に「そういえばどういう理屈でこうなってるんだろう」と改めて疑問に思ったので質問させていただきます。

まず前提として8 M尿素入りのPAGEをよく行うんですが(高さ30 cmとか少し大きめのゲル)、泳動にはキシレンシアノール (XC) とブロモフェノールブルー (BPB) を加えたRNA loading dye (95%ホルムアミド) を用いています。
ゲル濃度は8%だったり15%だったりと色々使っていますが、下記疑問点の現象はどの濃度でも見られます。
泳動はスタンダードなプロトコール通り、プレランを30分とか1時間とか流し、その後サンプルをアプライしてまた1時間とか流し続けます(電力は、以前はプレランを少し高めに設定していましたが、最近は設定を変えるのが面倒くさいので同じワット数のまま最後まで流し続けることが多いです。これも、どのように設定しようが下記の現象は見られます)。

本題ですが、まず第一の疑問としてプレラン時の色素の挙動について、いつもXCとBPBが本来あるべき距離よりも断然くっついたまま流れていくんですが、こうなるのは自然なんでしょうか…?(言うなればほとんど同じ移動度で流れていく、ぐらいに。)
その後サンプルをアプライして泳動を続けるわけですが、サンプルに含まれる両色素は最終的に本来あるべき距離に落ち着きます(例えば最終的にサンプル中のXCとBPBが10 cm離れているとすると、プレラン時にロードしたXCとBPBは1 cmしか離れていないというような感じです)。

ここで第二の疑問として、最初の疑問とも関連するんですが、全く同じdyeを使っているのに、サンプルに含まれる色素だけ非常に速く移動していきます(恐らく疑問点1を踏まえると、正しくは逆に「プレラン時の色素の移動度が異様に遅い」んだと思いますが)。
面白い点として、サンプルに含まれるBPBはあまりに速く移動するあまり、長く流しているとプレラン時に添加したBPBを追い抜くことすらあります。全く同じ色素で全く同じ電場がかかっている状況なのに、圧倒的に早く流し始めたプレランのBPBを、サンプルのBPBは追い抜いてしまうのです…!
個人的に宇宙の法則が乱れているとしか思えないのですが、このような現象がなぜ起こるのか理論的に説明を与えられる方はいらっしゃいますでしょうか…?あるいはこの現象が自分の環境だけで起こるのか、あるいは皆さん同じ現象に遭遇しているのか、という点だけでも情報提供いただけると幸いです。

個人的には、プレランはdyeだけ流すのでサンプルよりイオン濃度が小さくて移動がゆっくり、とか、ゲルがまだ温まってないから移動がゆっくり、とか考えたのですが、サンプルのBPBがプレランのBPBを追い抜くというのは、どう考えても何かが破綻している気がしてなりません(ひとたびゲルに入ってしまえば色素単独で流れていくわけですし、同じフィールド上を走っているのだから抵抗やら温度やらは全く同一条件のはずなのに…)。

しょぼい質問のくせして無駄に長々とすみません。最近ずっと気になって夜も眠れないので、何か疑問解決のアイディアいただけると大変嬉しく思います。

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