なんだったのかはくわしくわかりませんが、どの医者もこのような局面に遭遇する可能性はあります。
乳がんは女性では割と頻度の多い腫瘍で、治療には手術、放射線、抗がん剤治療、ホルモン治療などがありますが、手術が原則で他の治療は補助的な治療です。外科治療には乳房をすべて切除する乳房切除術とがんを含めて乳房の一部だけを切除する乳房部分切除術(乳房温存療法)の二通りあります。
この記事が正しく事実を伝えているならば、前医が全摘出術が必要と言っているのに現在はホルモン治療だけで進行の兆しがないというのは、それぞれの評価に矛盾がありいくつかの隠れた情報があるのかもしれません。
一つの可能性として、Invasive lobular carcinoma(浸潤性小葉ガン)と呼ばれる種類の癌が考えられます。この癌は乳腺の中で非連続性に多発する傾向があります。マンモグラフィーでも大きくならないとうつりにくく、発見が遅れがちです。一見温存できそうな状況で見つかっても、実は反対側の乳腺もがんで侵されていた、ということがあり得るのもこのガンです。
このような場合、前医が手術が必要だと言った時点で患者さんが治療を拒否しても、後から、転移するなどとは聞いていない、手術は不要だと言われたと主張する患者さんがいるのは事実です。
そのような状況を避けるために同意書を取ろうとしたのでしょう。ただ、そのためには十分な説明と理解、また現時点では治療しないが将来、治療を希望する際には十分な対応をするという姿勢が必要です。この件では、少なくとも夫を含めてインフォームドコンセントを行うべきでしょう。
医師側に落ち度があったと思います。 |
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