実験に使用する細胞の継代回数を考慮する理由としては、
・分裂回数により、老化や分化が起きるため
・継代期間が長いと、細胞の性質が元のものから変化することがあるため
が挙げられます。
前者については、分裂回数の絶対値が重要です。
たとえば、ヒト正常繊維芽細胞であれば70PDLでは老化直前で、購入しても数回しか分裂しません。
”若い”繊維芽細胞の性質が必要な実験には使えませんし、細胞が多量に必要な実験にも使えません。
後者については、他のラボと一貫したデータが得られることが重要です。
同じ名前の細胞なのに、全く異なる性質(例えば分化能がなくなっている)というのでは、先行研究を参考にできなくなりますし、追試でも結果が変わるかもしれません。
ただ、この場合は、同じ性質をもった細胞であることが重要であり、”JCRBから入手した○○細胞”の結果は他のラボでも再現が取れます。そのため、P70であったとしても、一概には使い物にならないとは言えないでしょう。
その細胞を使おうと考えたのは、何かの情報を元にしているのですよね。その情報が、”JCRBから入手した○○細胞”を使用しているのか、別のセルバンクや樹立社から入手した継代回数の少ない細胞を使用しているのかは、確認しておいた方がいいでしょう。 |
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