消化酵素=蛋白分解酵素の理解でよろしいでしょうか?
組織から蛋白分解酵素を抽出して、精製しようとする場合、問題になるのは蛋白分解酵素同士が互いを分解することです。これを抑制する為には、酵素反応が進行しにくい低温で、蛋白分解酵素の最適pHを外れたpHで抽出するするのが常法かと思います。これがpH4の冷水を使用する理由かと考えます。膵臓からトリプシノーゲンやキモトリプシノーゲンを抽出する場合、緩衝液ではなく、希塩酸や希硫酸を使った例も見たことがあります。
一旦、抽出した蛋白質をイオン交換樹脂に吸着させてしまえば、酵素反応による蛋白分解を心配しなくてもよくなるので、常温の水を使用したのではないでしょうか?また、常温の水を使用したほうが、蛋白質の拡散係数が大きくなり、イオン交換に要する時間を短縮することができるという利点もあるのかもしれません(あくまで理論的には、ですが)。ただ、学生実験や実習にように大人数で実験をする場合は、低温室の広さに制限があるので、常温で行う場合もあります。この場合は、目的の酵素が安定な性質の酵素である必要がありますが。 |
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