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ノックアウトマウスの戻し交雑による表現型の消失について トピック削除
No.3635-TOPIC - 2014/12/05 (金) 16:51:59 - なな
ある研究者が作成したノックアウトマウスを頂きました。その方はB6CBA/F1から得られたノックアウトマウスをホモ接合型マウスとして系統維持をされていました。マウスのある遺伝子の発現・分布パターンを調べ、便宜的にB6CBA/F1に雌雄をかけあわせたマウスをコントロールとして比較したところ、ノックアウトマウスに明らかな異常が見られました(系統に関係なくはっきりと分かるほどの異常です。ノックアウトマウスとコントロールそれぞれ4尾づつ調べました。)ただやはり遺伝的背景が同一ではないので、B6でホモマウスの戻し交雑を繰り返し、F6になった時に、ヘテロ接合体の雌雄をかけ合わせて、ホモ接合体を作成し、形質を確認した所、戻し交雑前に見られたホモ接合体の形質の異常が見られなくなっていました(正常な遺伝子の発現・分布パターンでした)。マウスラボマニュアルによると、“コンジェニック系統の作成過程で表現型が消失する場合もある”との表記があるので、起こり得ることのようなのですが、何故そうなるのか、理由がよく分かりません。何故そのようなことが起こるのかご存じの方がいらしゃいましたら、ご回答いただけると助かります。ちなみにヘテロ、ホモ、野生型の判断はGenotypingで行っております。お手数をお掛けしますがよろしくお願い致します。
 
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No.3635-9 - 2014/12/06 (土) 03:11:00 - なな
皆様、ご回答有難うございます。大変参考になりました。
 ノックアウトマウスでの機能解析を行う以前に、当該遺伝子(転写因子です)が、ある遺伝子のプロモーター領域に結合すること、293HEK細胞を用いたレポーターアッセイで、その遺伝子の活性を制御していること、マウスの神経細胞を用いたプライマリーカルチャー系で当該転写因子をノックダウンした場合、レポーターアッセイから期待される結果と一致していることを確認していました。そのうえで、ノックアウトマウスの形質を調べた所、上記の実験結果を支持するような結果が得られたので、満足していたのです。ところが、いざコンジェニック系を作成する過程でその形質が消失してしまったので、大変混乱している次第です。
 おおさんがご指摘された、Genotypingでのサザンはやっておりません。手軽に確認できることもあり、PCRでのみ確認しています。今度サザンをやってみます。

(無題) 削除/引用
No.3635-8 - 2014/12/06 (土) 01:32:59 - おお
バックグランドが変わると胎生致死になったり、違うバックグランドでは生まれてきたりというのもあるので、違うバックグランドにするというのもやってみると何か見れるかもしれませんが、、、

その表現系はKOした遺伝子で期待できると考えていますでしょうか。in vitroに持ち込んだりして、transfectionなどで発現を補ってrescueができるなら、ちょっと説得力が出てくるかもしれません。

genotypeはPCRでしょうか。要所要所でサザンで確認するのはやった方がいいかと思います。バッククロス前のものも含めて。

(無題) 削除/引用
No.3635-7 - 2014/12/06 (土) 01:17:04 - 鼠屋
マウスの表現系は遺伝背景と遺伝子と環境要因の組み合わせで決まります。
戻し交配をして遺伝背景が変われば、現象として表現系が変わることはごく普通にあり得ます。
db/dbは遺伝背景がC57BLKS/Jだと2型糖尿病モデルですがC57BL/6では肥満モデルになる、SCIDは遺伝背景によってLeakyの発生率が全然違う、などなど事例はいくらでもあります。
もし単一の遺伝子だけで表現系が決まるならば、遺伝背景の異なる複数の種類のミュータントマウスを作成する理由がありません。

(無題) 削除/引用
No.3635-6 - 2014/12/05 (金) 23:24:57 - ぺーぺー
>[Re:5] 独り言さんは書きました :

正直、暑さに強いとか弱いとか大雑把に表現型を語るのはいかがなものかとは思いますが、ご指摘の概念は遺伝学で学ぶところのpolygeneの表現型ということではないでしょうか。

(無題) 削除/引用
No.3635-5 - 2014/12/05 (金) 23:07:46 - 独り言
個人的な解釈では、
例えば、ロシアマウスでは熱さに弱いフェノタイプが出たけど、アフリカマウスと交配もしくは完全にバッククロスしたらフェノタイプがでなくなってしまった。それはアフリカマウスが複数のメカニズムで熱さにより耐性だったから。寒さへの耐性なら逆になるとか。

要は、それぞれのマウスの善し悪しを混ぜ合わせれば、より多くの環境に適応できるようにものなのかと思っておりますが、これって正しい解釈ですかね。

(無題) 削除/引用
No.3635-4 - 2014/12/05 (金) 22:03:15 - 直輝
可能性1)ES細胞の系統がB6CBAと違い、バッククロスするにつれて、ES細胞の系統由来のゲノム配列が減っていくから、表現型が出なくなった。
つまり、ノックアウト遺伝子が原因ではなく、ノックアウト遺伝子周辺のES細胞由来のゲノム配列が原因だった。

可能性2)ターゲッティングベクターが目的以外のところにも飛んでいて、何か悪さをしていた。バッククロスでその部分がなくなった。

等が考えられると思う。

(無題) 削除/引用
No.3635-3 - 2014/12/05 (金) 20:57:12 - なな
あ、すいません。電気生理学的な応答の異常と組織の萎縮も見られます。

(無題) 削除/引用
No.3635-2 - 2014/12/05 (金) 17:23:47 - おお
表現型っていうけど、何か遺伝子発現パターンをみてるだけなの?

ノックアウトマウスの戻し交雑による表現型の消失について 削除/引用
No.3635-1 - 2014/12/05 (金) 16:51:59 - なな
ある研究者が作成したノックアウトマウスを頂きました。その方はB6CBA/F1から得られたノックアウトマウスをホモ接合型マウスとして系統維持をされていました。マウスのある遺伝子の発現・分布パターンを調べ、便宜的にB6CBA/F1に雌雄をかけあわせたマウスをコントロールとして比較したところ、ノックアウトマウスに明らかな異常が見られました(系統に関係なくはっきりと分かるほどの異常です。ノックアウトマウスとコントロールそれぞれ4尾づつ調べました。)ただやはり遺伝的背景が同一ではないので、B6でホモマウスの戻し交雑を繰り返し、F6になった時に、ヘテロ接合体の雌雄をかけ合わせて、ホモ接合体を作成し、形質を確認した所、戻し交雑前に見られたホモ接合体の形質の異常が見られなくなっていました(正常な遺伝子の発現・分布パターンでした)。マウスラボマニュアルによると、“コンジェニック系統の作成過程で表現型が消失する場合もある”との表記があるので、起こり得ることのようなのですが、何故そうなるのか、理由がよく分かりません。何故そのようなことが起こるのかご存じの方がいらしゃいましたら、ご回答いただけると助かります。ちなみにヘテロ、ホモ、野生型の判断はGenotypingで行っております。お手数をお掛けしますがよろしくお願い致します。

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