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ヘテロの細胞で表現形が強く出る トピック削除
No.35-TOPIC - 2012/01/13 (金) 05:11:33 - 悩めるポスドク
いつも勉強させてもらっています。

とある遺伝子改変マウスのプライマリー骨髄細胞を用いて、細胞分化の検討をしています。
遺伝子改変マウスは、もともとヒトの遺伝病で見つかった1アミノ酸変異をきたす遺伝子異常をマウスにノックインしたものです。
その遺伝子変異は、Gain-Of-Functionを呈すると考えられています。

ヒトではヘテロの遺伝子異常で疾患を発症し、マウスの表現形はヘテロでも見られますが、ノックインホモマウスでより顕著になります。

現在、そのマウスの骨髄由来マクロファージを使って、細胞分化を検討しています。

とあるサイトカインで刺激した時の分化の程度は、WT<<<<ヘテロ<ホモ といった感じになり、gain-of-function mutaionが細胞分化を促進したことが示唆されます。
ただ、別のサイトカインで刺激した時はWT<<ホモ<<ヘテロと、ヘテロの細胞において細胞分化が亢進しています。
(※一連の実験において、同じ系統の細胞への分化を見ています。)

このノックインへテロの細胞で表現形(細胞分化)が強く出るという現象をどう考えたらいいのか、思案しています。

WTの蛋白とアミノ酸変異のある蛋白が混在している状態でより表現形が出やすくなるのではないか、と想像しているのですが、そういったことが起こりうるのかどうか、勉強不足でその点がわかりません。

上にも書きましたが、マウス自体の表現形は確認できている表現形に関しては、ノックインホモマウスで顕著です。
もしかしたらヘテロマウスに優位な表現形もあるのかもしれませんが、同定できていません。


あいまいな表現が多々あり、申し訳ないですが、ヘテロの遺伝子異常で表現形がホモマウス以上に出てくるということはありますでしょうか。
もしそういった遺伝子異常に関する過去の報告がありましたら、教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。
 
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(無題) 削除/引用
No.35-11 - 2012/01/14 (土) 21:00:05 - 悩めるポスドク
>中年さん

コメントありがとうございます。

>変異によってそのアダプター分子の分解が抑制されるということとは別に、エフェクターとの相互作用にも影響があるってことはあり得るのでは。その場合、サイトカインによって活性化キネティクスが違っていれば、ある場合には野生型よりシグナルが強くなり、別の場合には弱くなるということもありそうです。

おっしゃるとおり、変異がエフェクターとの相互作用に影響を与える可能性はあると思います。
ちなみに、その変異のある場所はエフェクター分子の結合部位として規定されている部位ではないです。直接の結合部位に変異はないのですが、立体構造の変化等で何らかの特定のエフェクター分子の結合に影響を及ぼしているかもしれません。(これは自分の全くの想像で、何ら実証されてませんが)

サイトカインによる活性化キネティクスの違いがあるのではないかと期待して、サイトカインA,Bの下流にあるシグナル伝達物質を現在ウェスタンで検討しているところです。何らかの違いが発見できれば、さらに追求する糸口になりそうです。


>また、そのアダプター分子の分解はシスに活性化されるようなものですか。それとも、何らかのエフェクターを介してトランスにも活性化されるようなものですか。後者であればまた、ホモとヘテロの挙動にいろいろとややこしい関係が生じうるかと思います。

シス、トランス、、、、あまりそういうことを考えていませんでした。分解のメカニズムなど勉強し直してみます。


>さらに、エフェクター分子が複数あるなら、サイトカインによるその使い分けと、変異がエフェクター結合に及ぼす影響で、これまたいろいろややこしい状況を考えることもできると思います。

エフェクター分子として規定されているものは複数あります。サイトカインAとBはファミリー分子で、かなり共通のpathwayを活性化するのですが、若干の違いはあるので、その違う部分のpathwayが変異に影響されているかもしれません。

(無題) 削除/引用
No.35-10 - 2012/01/14 (土) 20:39:37 - 悩めるポスドク
>Harmoniaさん

コメントありがとうございます。

>結果として、逆遺伝学的な発想で、「ドミネガをノックインした」ということ?

サイトカインAでは、WT <<<< ヘテロ < ホモ
サイトカインBでは、WT << ホモ << ヘテロ

サイトカインAに対する反応からすると単純なドミネガではないんでしょうが、ある条件下においてはドミネガ的な働きをする、という可能性はあると思います。その辺の切り替えの違いがどうして生じるかが悩ましいところです。


レンチウイルスベクターでの遺伝子導入実験は大変興味深いです。
問題は、ウイルスベクターを使用した経験が自分にないことと、当方の施設内にソーターがないことです。ウイルスベクターの使用はボスの指導下でできますが、ソーターがないのは致命的でしょうか??もし使用するなら車を20分は走らせてよその施設まで行かないといけないです。

プラスミドベクターを利用した実験で代用することは可能でしょうか?
評価に使える転写因子などが定まれば、ワイルドタイプ蛋白の発現ベクターを入れた場合、mutant蛋白の発現ベクターを入れた場合とで転写活性を比較することはできます。
かつて、別の目的の実験で、HEK293に今回問題となっている蛋白を発現するプラスミドベクターを使用した経験はあります。マクロファージ系を模してRAW264.7へのトランスフェクションも試みましたが、手元のリポフェクション試薬での導入効率が悪く、RAW細胞での実験は当時断念しました。

ちなみにサイトカインAのレセプターはおそらくHEK293には無いと思います。サイトカインBに対するレセプターはHEK293でも発現してます。RAW細胞は両レセプターとも発現してます。

(無題) 削除/引用
No.35-9 - 2012/01/14 (土) 14:23:11 - 中年
変異によってそのアダプター分子の分解が抑制されるということとは別に、エフェクターとの相互作用にも影響があるってことはあり得るのでは。その場合、サイトカインによって活性化キネティクスが違っていれば、ある場合には野生型よりシグナルが強くなり、別の場合には弱くなるということもありそうです。

また、そのアダプター分子の分解はシスに活性化されるようなものですか。それとも、何らかのエフェクターを介してトランスにも活性化されるようなものですか。後者であればまた、ホモとヘテロの挙動にいろいろとややこしい関係が生じうるかと思います。

さらに、エフェクター分子が複数あるなら、サイトカインによるその使い分けと、変異がエフェクター結合に及ぼす影響で、これまたいろいろややこしい状況を考えることもできると思います。

まあ、何も言っていないに等しいコメントではありますが。

(無題) 削除/引用
No.35-8 - 2012/01/14 (土) 10:22:15 - Harmonia
結果として、逆遺伝学的な発想で、「ドミネガをノックインした」ということ?

ということで、
その変異と同じ変異を導入した遺伝子を発現ベクターでWTに入れても再現できるはず?
また、変異を導入しない遺伝子をmutantに導入すると、量的に優ればレスキューできるはず?
あるいは、アダプターのくっつく相手を遺伝子導入で増やすとか。

マクロファージだったら、レンチウイルスベクターでIRES-GFPとか2AペプチドGFPとか、マーカーつきの発現ベクターで遺伝子導入を確認とかソーターで分別しながらでないと、導入されない細胞のバックグラウンドが高いかも。

もちろん、本来の発現パターンを知ったうえでやらないと、何を見ているかわからなくなりますが。

また、個別の細胞での現象と、個体の表現型をどういうことばで説明するかは、その先に待っている課題です。

(無題) 削除/引用
No.35-7 - 2012/01/14 (土) 01:06:19 - 悩めるポスドク
>おもしろいさん

コメントありがとうございます。

本当に何か「おもしろい」現象が起こっているのかと思います。
ただ、どう攻めて行ったらいいのか思案中です。


細胞分化の程度が、
サイトカインAでは、WT <<<< ヘテロ < ホモ
サイトカインBでは、WT << ホモ << ヘテロ
となること自体は、何度も確認済みで、結果は一貫しているので自信はあります。

コメント頂いたように、今その細胞分化にかかわるシグナル、転写因子をウェスタンブロットで網羅的に見始めたところです。
今後、定量PCRでも分化マーカーなども確認して行く予定です。


もちろんこの研究はボスとも相談しながらやっています。
ボスのバックグラウンドはgeneticistなんですが、「ヘテロで表現型が強く出る例・理由は、思いつかないなあ」とボスも思案中で、ここに相談させてもらった次第です。

「ヘテロで、ホモ以上に(個体レベルもしくは細胞レベルで)表現型が強く出る」そうった事例が過去に無いか、勉強しているところです。

なにか研究の取っ掛かりになるような情報がありましたが、教えてください。
いろいろ勉強したいです。

(無題) 削除/引用
No.35-6 - 2012/01/13 (金) 22:37:22 - おもしろい
答えではなく、素人の勝手な感想ですが、学術的におもしろいですね。

>基本的には容量依存性に分化の程度が強くなるのかと思います。

toyoさんの言われるのはある一例であり、濃度依存性にならない特殊な場合があってもおかしくないと思います。
クリティカルに作動する下流のファクターが、いわれる様な挙動を示せば、特殊な場合を証明することになるのでしょうが、分かっていないのでしょうね? 分化誘導の末端マーカーとかはそうであるということなのでしょう。実験データに自信があるのなら、その辺も回りやボスに相談してみたらどうでしょう?

(無題) 削除/引用
No.35-5 - 2012/01/13 (金) 17:45:49 - 悩めるポスドク
>toyoさん

コメントありがとうございます。

サイトカインの濃度と分化の程度の関係ですが、サイトカインの濃度を振って検討したところ、検討した濃度の範囲においては、どのgenotypeにおいてもサイトカインの濃度を上げるほど分化の程度が強くなります。


サイトカインAでは、WT <<<< ヘテロ < ホモ

サイトカインBでは、WT << ホモ << ヘテロ


かなり幅を振って検討してますし、過去の報告でも「ベル型の容量反応曲線」については報告されてないので、基本的には容量依存性に分化の程度が強くなるのかと思います。

(無題) 削除/引用
No.35-4 - 2012/01/13 (金) 13:44:22 - toyo
本題からずれるかもしれませんが、サイトカインの濃度を変えた場合、
分化の程度はどのようになるのでしょうか?

EGFによる創傷再生などでは最適濃度が存在して、その濃度を超えると
逆に再生能が低下するといった報告があります。
この場合、EGF濃度を横軸にとって再生能をプロットすると
ベル型の容量反応曲線が描けます。

仮に、WT培養細胞においてサイトカイン濃度を横軸にとって
分化の程度をプロットするとベル型の曲線になったとします。
シグナル経路を伝わる信号の強さがWT<ヘテロ<ホモの順に
なっていても、ヘテロ付近に最適濃度があれば、分化の程度は
WT<ホモ<ヘテロとなり得ます。

またマウス体内(vivo)のサイトカイン濃度が培養細胞の実験より
小さい場合、容量反応曲線の定義域が左側にずれて、
ホモが最適濃度より左側にくることで、分化の程度は
WT<ヘテロ<ホモとなり得ます。

分かりにくい説明ですみません。

(無題) 削除/引用
No.35-3 - 2012/01/13 (金) 12:31:26 - 悩めるポスドク
>Harmoniaさん

コメントありがとうございます。
勉強になります。

前回の記載に補足しますと、ターゲットの遺伝子はアダプター分子です。
どういったシグナルに関与するかはまだ十分には分かっていないです。

そのアダプター分子にアミノ酸変異があることで、そのアダプター分子の分解が抑制され、アダプター分子を介したシグナルが遷延する、といった形のGain-of-functionが想定されています。

ネオモルフの可能性は今のところ想定されてないですが、完全には否定しきれないと思います。

ヘテロで適度にシグナルが増強されると細胞分化が亢進し、ホモでシグナルが過剰になりすぎると細胞分化の亢進作用がなくなってくる、という感じでしょうか。

「シグナル」といってもいろんなシグナルが同時に増強されるでしょうし、物事はそう単純ではないでしょうが。

(無題) 削除/引用
No.35-2 - 2012/01/13 (金) 08:40:39 - Harmonia
対立遺伝子の内、正常な(本来の)機能を有するものを野生型 (wild type) という。変異を二種類にわけると、機能欠失型変異型 (loss of function) と機能獲得型 (gain of function) がある。前者には完全に機能を失った 無形質アレル(amorph) と、部分的に機能を失った 低形質アレル(hypomorph) がある。後者には野生型の機能を妨げるように働く アンチモルフ(antimorph) と、全く新たな機能を獲得した ネオモルフ(neomorph) がある。また、対立遺伝子が変異を起こしていても、表現型には影響が出ないこともある
(http://ja.wikipedia.org/wiki/対立遺伝子)

古典的な遺伝学的解釈には、これに加えてhypermorph というのがあります。

その遺伝子がどういうたぐいのタンパク質をコードしているか知りませんが、
ある遺伝子産物を思い浮かべたとき(DNAに結合する転写因子とか)
 似た産物が同時に発現している
 multimer を形成する
というモノを考えます。

仮にA、B、Cがどれでもいいからdimer を作って機能するとすると、
AA、AB、AC、BB、BC、CC
の組み合わせが考えられます。
ことのきBが無くなると、それでもAA、AC、CC
がなんとか頑張ってくれるので
・全く無いときは別の遺伝子からの産物が相補してくれるけど、完全ではないので、ゆるい表現型になる。

ところがBが変異すると、
AB、BB、BC v.s. AA、AC、CC
の競争になり、
・変異タンパクはmultimer に入り込んで機能を消失させるので、影響が広く、強い表現型になる
ということが想像できます。

ヘテロの細胞で表現形が強く出る 削除/引用
No.35-1 - 2012/01/13 (金) 05:11:33 - 悩めるポスドク
いつも勉強させてもらっています。

とある遺伝子改変マウスのプライマリー骨髄細胞を用いて、細胞分化の検討をしています。
遺伝子改変マウスは、もともとヒトの遺伝病で見つかった1アミノ酸変異をきたす遺伝子異常をマウスにノックインしたものです。
その遺伝子変異は、Gain-Of-Functionを呈すると考えられています。

ヒトではヘテロの遺伝子異常で疾患を発症し、マウスの表現形はヘテロでも見られますが、ノックインホモマウスでより顕著になります。

現在、そのマウスの骨髄由来マクロファージを使って、細胞分化を検討しています。

とあるサイトカインで刺激した時の分化の程度は、WT<<<<ヘテロ<ホモ といった感じになり、gain-of-function mutaionが細胞分化を促進したことが示唆されます。
ただ、別のサイトカインで刺激した時はWT<<ホモ<<ヘテロと、ヘテロの細胞において細胞分化が亢進しています。
(※一連の実験において、同じ系統の細胞への分化を見ています。)

このノックインへテロの細胞で表現形(細胞分化)が強く出るという現象をどう考えたらいいのか、思案しています。

WTの蛋白とアミノ酸変異のある蛋白が混在している状態でより表現形が出やすくなるのではないか、と想像しているのですが、そういったことが起こりうるのかどうか、勉強不足でその点がわかりません。

上にも書きましたが、マウス自体の表現形は確認できている表現形に関しては、ノックインホモマウスで顕著です。
もしかしたらヘテロマウスに優位な表現形もあるのかもしれませんが、同定できていません。


あいまいな表現が多々あり、申し訳ないですが、ヘテロの遺伝子異常で表現形がホモマウス以上に出てくるということはありますでしょうか。
もしそういった遺伝子異常に関する過去の報告がありましたら、教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。

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