p85のリン酸化といっても色々あるわけで、SH2ドメイン内のセリン残基のリン酸化の場合は、標的との結合を阻害すると言われてますね。チロシンの場合はリン酸化により相方のp110の活性を増強すると言われていますが、PI3Kの基本に立ち返ると、まずは膜へのリクルートではないかと。PI3Kの場合、基質が普通のタンパク質ではなく膜に局在するリン脂質なので、膜にリクルートされなければ、キナーゼ活性そのものの意義が?です。
AKTのリン酸化が抑制される事により生存や増殖が阻害される細胞が存在する事は間違いないと思いますが、このAKTリン酸化の抑制がPI3Kからのシグナルの減弱によるかどうかをtotal p85の発現量やリン酸化で判断するのはちょっと抵抗があります。AKTはPIP3により膜にリクルートされた後、PDKやmTORC2(他にも色々)によりリン酸化されるので、これらのキナーゼ経路の異常によりPI3Kとは別経路でAKTを抑制する可能性が否定できないからです。ただ、一般にAKTのセリン473のリン酸化はPI3K活性と良く相関すると言われていますので、セリン473のリン酸化が抑制されている場合は、上流のPI3Kから考える事自体は理にかなっていると思います。 |
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