絨毛の根元にクリプトが一緒に引っ付いて単離されている写真を、その手の教科書で見かけますね。一つの絨毛が10個前後のクリプトでサポートされているという記載は正しいと思います。クリプトの周りに10個の絨毛があるのではなく、絨毛の周り(根元)に10個のクリプトがあるということです。
クリプト1個につき何個の幹細胞が存在するかは、ちょっと難しいですね。組織切片では2次元になってしまうので、3次元構造のクリプトでの幹細胞数となるとどうなのでしょうか。クリプトボトムの幹細胞(これについてはLgr5+細胞がクリプト1個当たり15個前後存在すると報告されています)の他に、+4の幹細胞もありますし、3次元で+4の幹細胞がクリプト一個当たり何個あるのかはちょっとわかりません。
仮に、一つのクリプトが一個(というか1クローン)の幹細胞からできているとすると、一つの絨毛を覆っている絨毛上皮は10個(10クローン)の幹細胞からできている事になります。
小腸内腔に向かってverticalに切れている組織切片でクリプトと絨毛を観察すると、1:1(というか、0.5:0.5と言った方がいいかもしれませんが)に見えますが、3次元にすると10:1という事です。horizontalに切れている切片ではクリプトと絨毛を同一断面で見る事ができない(高さが異なる)ので、絨毛とクリプトの数と位置関係を評価できません。組織切片で見るためには、thick sectionで3D-confocal(蛍光で腸上皮細胞を標識)による評価が必要です。 |
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