お示しの論文では、一過性のvillin-CreERT活性化により、2ヶ月に渡りrecombinationが維持できているので、villin-CreERTは腸上皮幹細胞で発現していると考えて良いのではないでしょうか? 例えば造血幹細胞では、16週以上造血再構築する事を持って幹細胞と定義しますが、turnoverが早い腸上皮の場合はもう少し短くても良いような気がします。ただし、小腸で80%、大腸で40%のcryptでしかrecombinationが維持されない(Rosa b-galの場合)ので、幹細胞での組み換え効率は、他の腸上皮細胞(ほぼ100%)よりは悪いと考えられます。
我々が用いているfloxマウスでは、誘導半年後でもrecombined alleleが確認できたので、villin-CreERTは腸上皮幹細胞で発現していると考えています。長期観察後のアッセイにもよりますが、40%程度のノックアウトでOKなら追加投与はいらないかもしれませんね。
ほぼ100%近いノックアウトを数ヶ月に渡って維持したい場合は、繰り返しTamoxifenを追加投与する手もあるかと思いますが、私はやった事がありません。特に、ノックアウトが腸上皮幹細胞にdisadvantageである事が予測される場合には、組み替え効率がかなり高くても、ノックアウトを逃れた幹細胞によって最終的には入れ替わってしまうと思われ、長期的にノックアウトを維持するには、繰り返しTamoxifenを投与するしかないかもしれませんね。ただ、繰り返し誘導するくらいならconstitutiveのvillin-Creを使えば良いような気もしますが。 |
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