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形質転換時に導入されるプラスミドDNAの数 トピック削除
No.3149-TOPIC - 2014/06/25 (水) 09:40:49 - kh
形質転換時に細胞内に導入されるDNAの種類・数について、いくつか気になっている点をお尋ねさせていただきたいと思います。非常に長々と大変すみません。

1. 酵母への導入
酵母細胞に、ターゲット配列にランダム塩基を導入したプラスミドを形質転換してより強い活性の配列をセレクションする、なる実験をやっているのですが、一つの細胞に複数のプラスミドが入ることはあり得ることなんでしょうか…?
用いているのは2ミクロンのマルチコピーベクターなんですが、マルチコピーベクターである以上、細胞内で複数個のプラスミドが保持されるのは当然可能なので、「1細胞に複数クローン」というのはむしろ当たり前で、むしろ「1細胞に1クローンが導入されている」という方がずっと確率が低い話なんでしょうか…?その場合、セレクション後に強い活性を示すコロニーを回収してシークエンスを読んだ場合(酵母からプラスミド回収→大腸菌に形質転換→シークエンス)、それが本当に強い活性を示す配列だったのかどうか微妙になってしまい気になっています。もちろん、シークエンスを複数コロニー読む/シークエンス後単一のプラスミドを再度酵母に導入し活性を確かめる、というステップを踏めばよいだけではあるのですが。
ついでに関連して、しばしばUraマーカー・Leuマーカーの2つのプラスミド(どちらも2ミクロン)を酵母に同時に形質転換するのですが(-Ura-Leuプレートできちんと形質転換体が得られることからも、1細胞に複数種のプラスミドが保持されるのが実証できていますね)、このco-transformationを、どちらもシングルコピーのCENプラスミドで行った場合、形質転換体が得られることは不可能なのでしょうか…?理論上はシングルコピープラスミドはその名の通り1コピーしか保持できないはずなので、酵母は2つの栄養マーカーを持ちえないのではないかと思っていますが、実際の所どうなんでしょう…?

2. 大腸菌への導入
これも上記と同様の“ヘテロなDNAプールを形質転換”の実験を、大腸菌で行ったときの話なんですが、シングルコロニーをつついてミニプレップ後、シークエンスを読んだ結果、たまにインサート部が複数の波形ピークを示し何が何だか分からないことがあります(前半のベクターバックボーン部はキレイな単一波形。また、インサート部が単一な波形になるサンプルももちろん多数派で存在します)。
これは、シングルコロニーをつついたつもりが2つ以上のコロニーをつついてしまった結果、ということなんでしょうか…?用いているベクターはYEplacなるpuc系の普通のクローニングベクターです。
大腸菌の場合、このフォーラムの以前のトピックに色々有用な書き込みがありますが、それによると同一のOriをもつプラスミドはシングルコロニーアイソレーション後は単一コピーに落ち着いているであろう、とのことなので、1細胞が複数種のプラスミドを持つのはありえないのかな、と思っているのですが…。とはいえ「複数種」といっても差異はインサート部の一部のランダム配列のみの状況なので、積極的にどちらかが排除されることはなくミニプレップ後・シークエンス時にも複数種が存在するのはあり得るのかなぁ…などとも思えてきます。

大変長くなりましたが、アドバイスいただけると大変幸いに思います。
 
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No.3149-6 - 2014/06/26 (木) 12:28:09 - 弘法
進めておられる実験がどのくらいの桁数のランダム配列を扱っておられるかにも依りけりですが、ほとんどが「1細胞に1クローン」になるような少量のプラスミドでスクリーニングをしようとすると、形質転換のスケールが大きくなり過ぎて現実的でないケースもありますよね。そのような場合には「1細胞に複数クローン」になってしまうことをある程度覚悟して実験を行うことになると思います。

この実験では(酵母からプラスミド回収→大腸菌に形質転換)というステップがボトルネックになるので、大腸菌に形質転換する前に酵母からの抽出物を鋳型にPCRでインサートを増やしてシークエンスをしてしまうのも手ですよね。また、やってみてあまりにも複数クローンのケースが多いようでしたら、その複数クローン混合物のPCR産物と1-cutを入れたベクターとを共形質転換して、in vivoの相同組換えを利用して酵母内でプラスミドを再生し、活性のあるクローンを取り直すことも(two-hybridなどで)よくやられる手だと思います。

まずはパイロット実験で、回収したプラスミドを再形質転換してどのくらいの割合で擬陽性が出るのかを確認するところからでしょうか。

(無題) 削除/引用
No.3149-5 - 2014/06/26 (木) 00:34:21 - kh
おおさん、弘法さん、非常にロジカルな回答ありがとうございます。全てごもっともすぎるアドバイスで、大変納得しました。

そもそもCENが何者で、どういう仕組みでローコピー性を付与しているのか、というよりそもそもプラスミドのコピー数って一体どうやって測っているのか、などなど、あまりに基本的な知識が完全に欠落しているため、ちょっとずつ調べていこうと思います。軽く調べた感じ、83年〜ぐらいからこの辺の話は精査され出している感じですね。基礎の基礎から、小さな疑問もしらみつぶしにして、形質転換時の(に限らず)プラスミドの挙動を考えていこうと思います。こんな所で高らかに宣言するほどの話でもないですが…。

どうもありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.3149-4 - 2014/06/25 (水) 11:44:08 - 弘法
1.酵母
ご自身でもお書きになっているように、一細胞に複数クローンというのはしばしば起こります。ただし、形質転換に用いるプラスミドの量にも依りますが、一細胞に一クローンがまれということはありません。プラスミドの量を振って形質転換してみると、ある範囲ではプラスミド量に比例した形質転換体数が得られるので、その範囲では8割以上は一細胞に一クローンだと思います。実際にtwo-hybrid screeningをやった時の印象もその通りでした。
シングルコピープラスミドは、セントロメア配列がシスでシングルコピー性(正確にはローコピー性)を保証しているものなので、複数のシングルコピープラスミドを保持することに何の問題もありません。酵母本来の染色体がいずれもシングルコピーのものが16本あるという状況と同じです。ただし、セントロメア構成タンパク質の量は限られているようで、シングルコピープラスミドを5つも6つも持たせようとすると、プラスミドが不安定化するそうです。

2.大腸菌
以前のトピックで議論があったとおり、シングルコロニーアイソレーション後は単一コピーに落ち着くようですが、形質転換後に蒔きだしたプレート上のシングルコロニーは、コロニー内でそのプロセスが進行中であって、それを突っつくと別々のプラスミドを持った細胞の混合物になるのは当然だと思います。

(無題) 削除/引用
No.3149-3 - 2014/06/25 (水) 10:39:09 - おお
実際に同じoriでカナマイシンのプラスミドとampのプラスミドを同時にtransformationして、ampのプレートでコロニーをひろい、そのコロニーをけんだくしてカナマイシンのプレートにまくと耐性のコロニーが取れてくるようです。

もしライブラリーをつくるとき、ひとつのプラスミドが一つの大腸菌に入らないと、ライブラリーには大腸菌で増えやすいプラスミドに偏ってしまいます。じっさいに偏るので、そう言うときは導入するプラスミドが過剰にならないように量で調整します。

(無題) 削除/引用
No.3149-2 - 2014/06/25 (水) 10:01:51 - おお
まず酵母や大腸菌に1個(1分子)だけ入るようmanipulationすること自体が難しいと思いませんか?ケミカルtransformationなら細胞壁や細胞膜にプラスミドがベタベタとくっつくような状況にしてプラスミドが細胞内に入る機会をふやしたりして、transformationするわけで、どうやったらそこから一個だけ選ばれるのでしょうか。そう言う特殊なシステムがないといつも一個だけという風にはなりませんよね。

結局は 一つ入れるためには細胞数、使うボリュームなどを考慮して、DNAの濃度を調整することになります。

形質転換時に導入されるプラスミドDNAの数 削除/引用
No.3149-1 - 2014/06/25 (水) 09:40:49 - kh
形質転換時に細胞内に導入されるDNAの種類・数について、いくつか気になっている点をお尋ねさせていただきたいと思います。非常に長々と大変すみません。

1. 酵母への導入
酵母細胞に、ターゲット配列にランダム塩基を導入したプラスミドを形質転換してより強い活性の配列をセレクションする、なる実験をやっているのですが、一つの細胞に複数のプラスミドが入ることはあり得ることなんでしょうか…?
用いているのは2ミクロンのマルチコピーベクターなんですが、マルチコピーベクターである以上、細胞内で複数個のプラスミドが保持されるのは当然可能なので、「1細胞に複数クローン」というのはむしろ当たり前で、むしろ「1細胞に1クローンが導入されている」という方がずっと確率が低い話なんでしょうか…?その場合、セレクション後に強い活性を示すコロニーを回収してシークエンスを読んだ場合(酵母からプラスミド回収→大腸菌に形質転換→シークエンス)、それが本当に強い活性を示す配列だったのかどうか微妙になってしまい気になっています。もちろん、シークエンスを複数コロニー読む/シークエンス後単一のプラスミドを再度酵母に導入し活性を確かめる、というステップを踏めばよいだけではあるのですが。
ついでに関連して、しばしばUraマーカー・Leuマーカーの2つのプラスミド(どちらも2ミクロン)を酵母に同時に形質転換するのですが(-Ura-Leuプレートできちんと形質転換体が得られることからも、1細胞に複数種のプラスミドが保持されるのが実証できていますね)、このco-transformationを、どちらもシングルコピーのCENプラスミドで行った場合、形質転換体が得られることは不可能なのでしょうか…?理論上はシングルコピープラスミドはその名の通り1コピーしか保持できないはずなので、酵母は2つの栄養マーカーを持ちえないのではないかと思っていますが、実際の所どうなんでしょう…?

2. 大腸菌への導入
これも上記と同様の“ヘテロなDNAプールを形質転換”の実験を、大腸菌で行ったときの話なんですが、シングルコロニーをつついてミニプレップ後、シークエンスを読んだ結果、たまにインサート部が複数の波形ピークを示し何が何だか分からないことがあります(前半のベクターバックボーン部はキレイな単一波形。また、インサート部が単一な波形になるサンプルももちろん多数派で存在します)。
これは、シングルコロニーをつついたつもりが2つ以上のコロニーをつついてしまった結果、ということなんでしょうか…?用いているベクターはYEplacなるpuc系の普通のクローニングベクターです。
大腸菌の場合、このフォーラムの以前のトピックに色々有用な書き込みがありますが、それによると同一のOriをもつプラスミドはシングルコロニーアイソレーション後は単一コピーに落ち着いているであろう、とのことなので、1細胞が複数種のプラスミドを持つのはありえないのかな、と思っているのですが…。とはいえ「複数種」といっても差異はインサート部の一部のランダム配列のみの状況なので、積極的にどちらかが排除されることはなくミニプレップ後・シークエンス時にも複数種が存在するのはあり得るのかなぁ…などとも思えてきます。

大変長くなりましたが、アドバイスいただけると大変幸いに思います。

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