細胞からの蛋白質抽出可溶化溶液は様々なものがあり、それが、適切かどうかは、あくまでも使用者の実験目的に依存する相対的な問題です。いろいろな種類があるのは、これまでの研究者がその時々の自分の実験目的に適するように組成を工夫してきた歴史があるためです。ある実験ではきわめて適切でも別の実験ではかならずしも適切でないことは普通にあります。実験書や論文からの情報だけでは、この点を知る事は難しく、時には自分自身で検討して必要ならば組成を改変することも必要になります。
大事な事は、自分の対象とする蛋白質が十分に抽出、可溶化できることと、可溶化溶液の組成が、その後に予定している実験に支障を来さないことの2点です。LIPA bufferは比較的多くの種類の蛋白質を可溶化できることと、強い変性作用はないので、その名前の通り、免疫沈降などの実験に供することができる場合が多いなどの理由で、とりあえずの第一選択肢として汎用されているものと思われます。ただLIPAでも可溶化できない蛋白質もわりと多いので、もしあなたの対象とする蛋白質がそのなかにあるならば、LIPA bufferはあなたの実験には適切でないということになります。 |
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