先ず基本的な理解として、少なくとも実験科学で用いられる統計手法の多くはある集団aともう一つの集団bが同じ母集団に属しているか否かを検定するものであって、実験の因果関係を直接的に導くものではありません。従って、行った実験が複数のファクターにおいて差異が推認される場合には、その個別のファクターの何れかが実験結果に影響したのかは、実験設計によって解決しなくてはなりません。
おそらく、細胞株が三種類あって、それぞれについてノックアウトしたクローンを樹立して比較したということだと思いますが、もし、細胞株1と細胞株2の野生型と変異型を比較するというのであれば、そもそもこの2つが違う母集団(この場合細胞株)が違う事は最初からわかっているので、この比較は無意味であると言えます。
以下に課題と私が思いつく範囲の解決策を例示します。
実験ごとに手技による結果のゆらぎがあるので試行数を増やしたい。
→現在作成している株で複数の培養を行う。
遺伝子を潰したクローン間の差で結果のゆらぎがあるので試行数を増やしたい。
→複数のクローンを樹立して、また、コントロールも対応するクローニングを行いそれぞれのクローンを含む結果について比較する。
(この場合の試行数とは「クローン数」です)
あとはレスキュー実験、またはクローニングしないでノックダウン的な処理の前後における変化量を比較する等が思いつきます。 |
|