たぶんほとんどの大学では、4年生の卒業研究は、一応研究と名前がついているけど、ちょっと研究活動の一部をを経験してみるということが実情とおもいます。また個々の学生のテーマは当然異なるので、難易度やその課題の準備状況も全く違います。すでに誰かがあるていど完成させているものを引き継いだり、大勢で進めている大きなプロジェクトの一部を補足的に手伝う形でテーマが設定された人は、あまり苦労することなく多くのデータが早めに揃うので(もしそういう事情を知らない人がみれば一見)立派な卒論になるでしょうし、そうでないテーマを設定された人はとても苦労する事が多くて、かつデータも出にくいのは、あたりまえでそれ自体はあなたの研究能力とか資質とは全く関係ありません。また(すくなくとも大学教育について標準的かそれ以上の)教員ならもその辺のことは百も承知の上で学生を指導していますので、満足なデータが出なかったのでこの学生はダメとか有用なデータがたくさん出せたから優れているとかいったような見方はしません。
大切な事は、何を目的にしてどんな実験をし、その結果(negative data、プレリミナリーデータでもいいので)どんなデータが出たか、またその結果ついてのあなたの考え、あるいはもし予想と違う(あるいはどうもはっきりしない)ならあなたの考えるその原因や対応策を考察すればいいのです。こうした一連のながれを自分の言葉で論理的にまとめれば十分に立派な卒論になるとおもいます。もしデータが少なくて引け目を感じるなら、序論や背景の部分を詳しく書くとか(少し多めに文献を読まないといけないですが)模式図を入れるとかで補う事ができますし、国内外の博士論文とかでもそういう部分にかなりのページを割いていますのでおかしなことではありません。
学部生でカニュレーションを日常的にやってる人(出来る人)はあまりと思うので、これはあなたのアピールできる大切なポイントとおもいます(プロの研究者的にはむしろそういう点に目がいくと思いますし)。なので手技的なことの説明としてデジカメ写真入りで説明をいれてFigureをつくることもできるとおもいます。これはあなたの研究室にとっても後を引き継ぐ学生さんにとっても後々まで重要な資料となるとおもいます。
教員は、これら一通りの作業を通じて、研究ってどんなかんじのものなのかを、この機会に実体験してほしいと思っているとおもいます。 |
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