Transformationの定義は機能的な表現形(接触阻害からの離脱、足場非依存性増殖、造腫瘍性)であり、その原因の一つとしてmutationなどのgeneticな変化が挙げられるという事です。その他に色々な原因があるのかもしれませんが、きちんと証明されているものを私が知らないだけで、 すべてのtransformationがgenetic eventsで説明されるとは言えません。他の方々の意見も参考にしてみると良いと思いますよ。
Mitogenの影響については、シグナル伝達そのものではなく、その結果として生じる不可逆的なプロセスが問題だと考えています。細胞周期そのものは、形質転換していないNIH3T3でも十分回っているので、それ以外の原因を私なら考えます。DNA damageが関与している可能性は高いと思います。
Early passageの意味は、後者(passage回数が少ない)です。Passageを繰り返せば、genetic eventsが蓄積すると思います。
コンフルエント培養で見られる浮遊細胞については、なおさんの実験条件で見られる細胞を解析してみないと分かりません。顕微鏡下の観察で明らかなアポトーシスの形態的特徴が確認できれば、死細胞(あるいは死にゆく過程にある細胞)と言えますが、はっきりしなければ、浮遊細胞を集めて継代してみる、あるいは細胞増殖、細胞周期、細胞死などのアッセイにかけてみるのは、良いアイデアだと思います。
細胞周期が止まっている細胞については、色々な分野で面白い研究が進んでいると思います。私の研究領域では、oncogene-induced senescence(OIS)という現象が知られており、OIS細胞は G0/G1で止まっているけれど、長期にわたって生存し、metabolic activityが高い事が分かってきています。このように、細胞周期が止まっていても、生存して機能する細胞が、癌化のプロセスの初期に見られる事からも、細胞周期のアレストが必ずしも細胞死とリンクしない事は明らかです。
足場依存性の細胞の場合は、細胞周期とは無関係に、integrinなどの細胞接着因子を介したシグナルが細胞の生存に必要なのだろうと推測しますが、transformした細胞では、それを代償する機能(例えば、RASやRAFの変異によるMEK-ERK MAP kinase経路の恒常的活性化)が獲得されているのだと思います。 |
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