私の理解する所では、、、、、
以前から行われている古典的分類・種同定に用いられる形質の延長として塩基配列を利用するのと同じ意味でbarcodingという概念があるわけではないです。
要するに、分類・種同定(以下、分類)の高度なスキルがなくてもそれができるように、塩基配列でだれでもできるようにしようというのがbarcodingです。
以前なら、古典的形質による分類では、分類や系統関係がはっきりしないとか異論があるというような場合に、塩基配列を比較しようというスタンスだったと思います。逆に、塩基配列による分類が妥当かどうかというのは確立された古典的な分類からみても妥当であるかどうかという検証が不可欠です(種内変異と種間変異の切り分けができるかどうか)。
ところで、分類というのは非常に高度なスキルが必要で、分類群ごとにその道のエキスパートでなければ満点の正解は出せないものです。種同定をしたいと思ったら、世界中でもそれほど数多くはない専門家に依頼しなければならないということも珍しくないわけです。しかし、分類学者は後継者不足で自然減の傾向にあります。これに危機感を抱くのは当然で、現役の分類学者が元気なうちに、だれでも分類をしようと思ったらできる環境づくりをするのが急務になっています。このための対策がbarcodingプロジェクトです。
極端な話、使っているマウス、ショウジョウバエ、線虫が本当にMus musculus、Drosophila melanogaster、Caenorhabditis elegansであるということを見分けられる研究者がどれだけいるでしょうか。もしも、いつのまにかコンタミとか手違いとかで別の種に置き換わっていたら、生物学研究の根底が崩れてしまいます。研究室のストックでxxx細胞株だと思って実験して論文も書いていたが、実はいつの間にかコンタミしたHelaに置き換わっていた、という話は笑い話ではなく本当にあることらしいですね。 |
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