アッセイ系が不安定なときは、系のどこかに不安定な要因が内在しているはずですから、多少遠回りに思っても、きちんと対照実験を行って一つづつ原因を検証する方がよいと思います。
アッセイ系が不安定な原因としては、おおまかに
(ア)刺激される培養細胞が不安定
(イ)刺激に用いるIL-1β試料が不安定
(ウ)遺伝子発現の検出系が不安定
の三通りの可能性が考えられますね。
そのうち、質問者さんは(イ)の可能性を考えていらっしゃるようですけど、(ア)や(ウ)の可能性はどのような根拠で棄却されたのでしょうか?
もし(イ)の可能性が真実であれば、IL-1受容体を発現している他の培養細胞を刺激した場合でも、実験結果が不安定になるはずです。
実際にそのような対照実験の結果が得られているのでしょうか?
他の先生方も指摘されているとおり、それよりは(ア)の培養細胞が不安定な可能性の方を先に疑った方がよいように思います。
たとえば、IL-1受容体とTLR4受容体はMyD88以下の下流のシグナル経路は同じですから、その培養細胞がTLR4系の受容体を発現しているのであれば、LPS等で刺激しても目的の遺伝子発現が観察されるはずです。
LPSで刺激しても結果が不安定であれば、細胞のシグナル伝達経路(ないし受容体発現)に問題がある可能性が高くなります。
逆にLPS刺激で安定な結果が得られ、IL-1βで刺激したときだけ不安定なのであれば、細胞内シグナル経路に問題はなくて、IL-1受容体の発現が不安定か、あるいはIL-1β試料に問題があるということになりそうです。
上手くいかなくて苛立つお気持ちはわかりますけど、そういった見極めをしないで闇雲にIL-1βの品質に拘っても、科学的な論証にはならないと思います。 |
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