お世話になります。
私は修士2年で、PEG沈によるウイルス濃縮法の回収率を測っております。これまで何度か回収実験を行ってきたのですが、回収率が一桁台のパーセンテージに留まっており困っています。私が行っている実験手順を示させて頂きますので、どのように改善すれば高い回収率が得られるのかアドバイスを頂けたら幸いです。
以下は先週行った実験手順です。
1) 水道水を5分間流した後に1 L×3を三角フラスコに採水した
2) 60 mgのチオ硫酸ナトリウムと200 mLの超純水で水溶液を作り、オートクレーブし、室温で冷ました後に1 mLを各サンプルに加えた
3) 各サンプルに850 gc/μLのHuman adenovirus 40 Dugan (ATCC® VR-931™)を1 mL添加し、ピペッティングと軽くヴォルテックスし撹拌させた
4) pHが7〜7.4ぐらいであることを確認した
5) 1つ目のサンプルにはNaCl 2% (w/v)とPEG 15% (w/v)、2つ目のサンプルにはNaCl 5% (w/v)とPEG 15% (w/v)、3つ目のサンプルにはNaCl 2% (w/v)とPEG 8% (w/v)を加え溶解させた (このようにPEGとNaClの濃度をバラけさせたのはこれまでの回収実験で沈殿物が見られず、PEGとNaClの濃度に問題があるのではないかと思ったからです)
6) サンプルを振とう機で120 rpm、4°C、2時間振とうさせた(多くの文献ではovernightで振とうさせたと書かれているのですが、Lewis and Metcalf (1988)にてstirred for 1.5 to 2 h at 4°Cと書かれていたのでそちらを参考にさせて頂きました)
7) サンプルを500 mLの遠心ボトルに250 mL程入れ、10,000 rpm, 4°C, 30分で遠心し、上澄みを吸引した。【この時、黒いペレットが各ボトルに3〜4個程確認された】
8) 50程残ったサンプルを50 mLのコニカルチューブに半分程移し(この時、10〜20 mL程度のPBSで遠心ボトルを2回濯いでその液もコニカルチューブに加えた)、10,000 rpm, 4°C, 30分で複数回に分けて遠心し、上澄みを吸引し、最終的に2mL程サンプルが残るようにした。【黒いペレットはサンプル中に残した】
9) 超音波振動を2分間、ヴォルテックス短めを複数回かけた後、150 rpmで1時間振とうさせ、ヴォルテックスと超音波振動を同じ要領で行った
10) 2 mLのクロロホルムを加え、15分間チューブを振りながら混ぜた後にサンプルだけをピペットで吸い取り別のチューブに移した
11) High pure viral nucleic acid kit (Roche)によりDNAを抽出した
12) リアルタイムPCRにより定量を行った
この結果、2 mLのサンプル中に1つ目のサンプルからは210 gc、2つ目からは2010 gc、3つ目からは1470 gc程が検出されましたが、回収率としては順に0.02%, 0.24%, 0.17%というとても低い結果が出てしまいました。
これまでの回収実験でも回収率が全て一桁台のパーセンテージに留まっており、実験手順自体がどこか根本的に間違っているのではないかと感じております。
一番気になっているのは、黒いペレットこそ確認できているものの、多くの文献で言われているようなペレットの塊が確認されないことです。
今行っている実験手順をどのように改善すべきかよろしくご教授願います。 |
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