昔(10年ぐらい前)は時間とお金の都合で、全長、プラスミドまでシークエンスしていませんでした。WTは全長シークエンスするとしても、その後は変異部分だけシークエンスとかでした。変異プラスミドは複数クローンを予備に用意しておいたり(何か変なことが起きた時用)。結局は時間とお金とリスクバランスの問題。
今はプラスミドの骨格を含め、全長で15ドル程度、1日で結果がでるサービスがあるので、プラスミド全てをシークエンスしてます。
この方法で他人から貰ったプラスミドや、過去のラボメンバーが作ったプラスミドを調べると、かなりの確率で目的遺伝子の中に嫌な変異が見つかったり、全然ちゃうやん、という結果になり、その頻度に正直ビックリします。プラスミド骨格の変異はあまり気にしていませんが(ちゃんと増えてればいいや状態)、その変異がどの段階で挿入されたかの歴史がうっすら見えてきて、なかなか興味深いです。発現量を気にする実験だったら、プロモーター周辺の違いはちょっと気になったりします。
明らかに問題になりそうな間違い、変異を見つけた時は、データを示して正直に相手に伝えます。その後、伝えた相手がどう反応するかは、確かにモヤモヤすることも多いですね。多くの場合、無かったことにされます。私は、一回伝えたら、もうそれ以上は言及せず、そのプラスミドは捨てるか直すかしてから、我が道をいくことにします。その後、相手の論文は疑いの目で読みます(笑)。
ま、世の中そんなもん。論文の70%は再現できないとか言いますよね。
でも他人の行動までコントロールできないので、モヤモヤする時間は短く、自分の事に集中したほうが良いですよ。 |
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