目先のことだけ考えると、マウスでマウスの遺伝子を発現させるのがいいでしょう。異種遺伝子産物の混在となるので、マウスでヒトの遺伝子を発現させるのはダメでしょう。
ただし、それでいいのでしょうか?
結果として、マウスの癌の話しはできるでしょう。では、ヒトではどうでしょうか?
「なるほどそうですね」と、マウスでヒトの遺伝子を発現させるように実験を組み直したとしましょう。
それでいいのでしょうか?
結果として、マウスでヒトの遺伝子を発現させたときの何かが分かったけど、マウスが分かったわけでもなく、ヒトが分かったわけでもなく、何が分かったというのでしょう?
「では、ヒトでヒトの遺伝子を発現させます」といって、個体実験は無理だから、培養細胞を使ったとします。
やっぱり、それでいいのでしょうか?
細胞レベルの話しは分かったけど、しょせんは個体の話しはできず、さらに遺伝子導入したのだから、元の癌そのものより、もっと変な遺伝子発現量になって、結局は、「アーティファクトですね」って言われておしまい。
「だから実験なんかやめなさい」
ということではなく、これらをひっくるめて、次とその次の手を考えてください。
マウスでヒトの遺伝子を発現させても、マウスでマウスを発現させても、「ヒトのことは分からない」ではなく、「ヒトのことを分かるためには、別のこういう切り口も必要」と考えて、それはどういう実験を考えておけばいいのかと、悩んでください。
マウスでマウスを発現させるのか、マウスでヒトを発現させるのか、
「先生、その2手、3手先は、何を考えておられますか?」
と、ディスカッションできればいいですね。もちろん、
「僕の次とその次の手はこうです」
と、言えないと相手にされないかも。 |
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