書こうと思っていたこと(反応の高温化、5’-dTn-dV-3‘プライマーの使用)は早々にベテランさんたちが指摘していますが、
昔はdT15くらいが普通だったと記憶するのですけど、
長いのが主流になってきたのは、高温で反応できるRTaseが出てきたのと関係あると思います。温度が高いほど伸長を妨げるRNAの二次構造が緩和されるので、高温安定性を高めるように工学的にRTaseが改変されてきました。
SuperScript(SS)を例にすると、オリジナルのSSは反応温度37℃、その後SSII, SSIIIとバージョンアップして45℃とか55℃とかで反応できるようになりました。
それに伴い、dTプライマーが高温で安定にアニールするために鎖長が長めになってきたんでしょう。
ちなみに、ランダムプライマーのように短いプライマーを使うときは、低い温度でアニール、プライミングして、ある程度鎖長が長くなってTmが高くなったところで高温で反応させたりしますね。
dT20とdT30は何が違うか?
あまり違わないと思いますが反応温度が50℃近くだと効いてくるかも。
簡単に2℃/AT対でTmを計算するとdT20は40℃、dT30は60℃。
それと
> ちなみに、CDS内部に7塩基程度のAの連続配列があると、一定の割合でそこから逆転写が始まっているデータを、今はもう公開されていないデータベースで見たことがあります。
を読んで思ったのは、反応温度を高くしたり、dTnを長くすると、そういうアーティファクトを防ぐ効果があるだろうということ。
高温では短いAストレッチにアニールしにくくなる。
dTnが長いほど短いAストレッチに対してミスマッチが多くなることになりTmを下げてアニールしにくくなる。
>Primerを注文するようにTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTを合成して使えば数百円ですみます。これでは駄目なのでしょうか?
かまわないと思います。合成・精製のグレードを上げてもまだ安上がりじゃないかな。最小スケールでも市販品の何倍も収量あると思います。
あと5’-dTn-dV-dN-3’のように3’末端2ntを散らしたプライマーもありました。ClontechのRACE kitのMarathonなど。3’のプライミング位置が揺らがないという利点。 |
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