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カルシウムによるケラチノサイトの分化誘導 トピック削除
No.12243-TOPIC - 2024/03/25 (月) 15:41:32 - Ca
いつも勉強させていただいております。

早速なのですが、上皮分化と、ある遺伝子Xの発現の関係性について研究しております。
(当方、大学院生です)

上皮分化が進むと遺伝子Xの発現が減少することが先行研究でわかっています。
(上皮組織のbasal免疫染色で、basal cellでは発現++だが、suprabasal layerでは-)

そこで、培養液中のカルシウムの濃度を上げることでケラチノサイトを分化誘導し、遺伝子Xの発現がどのように変化するかをウエスタンブロットで確認しました。
そのときの培養・実験条件は下記の通りです。

・使用細胞はHaCaT(カルシウム濃度0.03 mMの培地で培養)
・24時間後に約50%の細胞密度になるように播種
・24時間後に様々な濃度の高カルシウム培地に交換(カルシウム濃度0.15、0.3、0.6、1.0、1.6 mM)
・1〜6日間培養を続け、各日数での遺伝子Xの発現をウエスタンブロットで解析

その結果、遺伝子Xは4、5、6日間培養したものでカルシウム濃度依存的に発現が増加しました。

この結果は、先行研究の所見「上皮分化が進むと遺伝子Xのタンパク発現が減少」と矛盾しています。
私はこの結果から「カルシウムによる分化誘導は、単一の誘導因子による分化誘導だから矛盾した結果が得られることもあるだろう。きっとカルシウム以外の分化誘導因子が、分化に伴う遺伝子Xの減少に関わっているのではないか?」と考えたのですが、指導教官には「分化誘導しているのに、この結果はおかしい」と頭ごなしに否定されてしまいました。

カルシウムによる分化誘導が分化誘導実験でのスタンダードであることは私も理解しているのですが、今回の結果を踏まえて「カルシウム以外の分化誘導因子が、上皮分化に伴う遺伝子Xの発現抑制に関わっているのでは?」と考えることがそんなにとんちんかんなことなのでしょうか?自分が不勉強なのもそうなのですが、ちょっと落ち込んでいます。

分化誘導実験のご経験者の方のご意見を伺えると幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 
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10件 ( 1 〜 10 )  前 | 次  1/ 1. /1


(無題) 削除/引用
No.12243-10 - 2024/03/30 (土) 03:29:05 - おお
示した文献はなんか特別な道具を使っているような気がしてますが(写真が載せられている)、トランスWellとかもう少し一般化したものなどでもできるような気がしますので、3Dの実験系も自身で検索するといいかと思います。

(無題) 削除/引用
No.12243-9 - 2024/03/28 (木) 14:30:51 - Ca
おお様

またまた文献をご紹介いただきありがとうございます。
3D培養の文献までは調べられておらず、さっそくご紹介いただいた文献をチェックしたいと思います。
場合によっては実験手法を考え直す必要があるのかもしれません。
指導教官とよく話をしたいと思います。

おお様をはじめ、皆様、貴重な時間を割いて色々アドバイスくださって本当にありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.12243-8 - 2024/03/27 (水) 02:47:02 - おお
doi.org/10.1046/j.1523-1747.1999.00524.x

斜めにしか読んでないですが、3DでHaCaTを分化させている文献です。線維芽細胞の指示がないとVivoのような表皮形成ができないようです。なので通常の培地でカルシウムだけにより分化させた場合、Vivoを完全に再現できてない可能性があります。文献の中でpolarizedというワードが気になりますね。普通にDishにまいた細胞ではおこらないような気がします。

(無題) 削除/引用
No.12243-7 - 2024/03/26 (火) 19:26:47 - Ca
皆様へ、
 たくさんのアドバイスを本当にありがとうございます。
現在、教授が健康上の理由で入院しており、研究室の先生も指導教官お一人で、院生も自分だけですので、本当に皆様からのアドバイスが涙が出るほど嬉しいです。



おお様
 
 早速のアドバイスと参考文献をありがとうございます。
提示していただいた論文も含めて、カルシウムによる分化誘導の論文をもっと読み漁ってみたいと思います。ありがとうございました。


SN様

 培養細胞の免疫染色は思い浮かびませんでした。具体的な方策をアドバイスいただきありがとうございます。
質問文で提示した培養条件で目的遺伝子の発現状態を免疫染色で確認したいと思います(免疫染色がうまくできることを祈りつつ…)。
指導教官に早くデータをお見せしたいので早速始めたいと思います。


TTT様
 
>その培養条件下で、分化が促進していることは何らかの分化マーカーなどで確認出来ていますか。
 分化マーカー(CK1、CK10、Involucrin)はカルシウム濃度依存的に増加しており、各カルシウム濃度での経時的な発現増加も確認できているので分化誘導自体はうまくいっていると思われます。

>分化で遺伝子Xの発現が減るという既報はそのHaCaTで確認されているのですか?
 まだ報告はありません。あくまで上皮組織の免疫染色で確認されているだけです。

>※HaCaTとNHEKで反応によっては挙動が違うことはありうるとは思います。
 NHEKでも同じ培養条件で培養したときに同じような結果となるのか確認してみたいのですが、こちらの研究室にあるケラチノサイトの細胞株がHaCaTだけなのでそれが叶わず…。「カルシウム分化誘導=ケラチノサイト」と思い込んでいたので、他の細胞株でもカルシウム分化誘導実験を行っていないか論文を探してみたいと思います。suggestionをありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.12243-6 - 2024/03/26 (火) 14:43:33 - TTT
一応確認の質問で、
その培養条件下で、分化が促進していることは何らかの分化マーカーなどで確認出来ていますか。
分化による見た目の変化があるなら、最低限その確認でも良いですが。
※分化誘導自体がうまくいっていない可能性も一応は疑ってみる。

分化で遺伝子Xの発現が減るという既報はそのHaCaTで確認されているのですか?
それとも他のケラチノサイト株ですか。NHEKだったり違う細胞でしょうか。
※HaCaTとNHEKで反応によっては挙動が違うことはありうるとは思います。

(無題) 削除/引用
No.12243-5 - 2024/03/26 (火) 07:23:41 - SN
もし培養細胞でも免疫染色がワークするのであれば、どういった特徴の細胞で目的のタンパク質が増えているのかを調べてみても良いかと思いました。
完全に分化した細胞でXが増えているのか、分化途中の細胞なのか、増殖している細胞なのか、もう少し情報が得られるのではないでしょうか。

(無題) 削除/引用
No.12243-4 - 2024/03/26 (火) 00:39:18 - おお
Calcium is the major regulator of keratinocyte differentiation in vivo and in vitro. A calcium gradient within the epidermis promotes the sequential differentiation of keratinocytes...

PMID: 23144648 PMCID: PMC3491811 DOI: 10.1586/eem.12.34
vivoでもカルシウムの濃度勾配が見られて分化誘導の要因と考えられてはいるようです。ただあなたの蛋白の発現誘導がそれ以外の要因に影響される可能性は否定できませんけど。

(無題) 削除/引用
No.12243-3 - 2024/03/25 (月) 21:44:14 - おお
VitroのデーターがVivoの現象を再現できない事は良くあると思います。それにはさまざまな可能性が考えられます。

Vivo の環境を完全に再現できない。
癌細胞や不死化細胞を使っているため一部正常細胞にない現象が起こるなど。


Vivoでカルシウムの関与については専門外で良くわかりませんので、カルシウム以外が分化誘導のキーファクターかどうかはなんとも言えません。もしかしたら角化するまえの増殖する細胞もカルシウムに晒されているが、他の因子で分化が抑制されているかもです。いや、知らないのに深入りはしない方が良かったかも。

皮膚のvitro での再生などの系では表面を空気に晒したりしませんでしたっけ。
3dなどでCo-culture するような系もありますし、そういう系でどのように分化するのかも調べてみてもいいかもしれません。

(無題) 削除/引用
No.12243-2 - 2024/03/25 (月) 15:47:36 - Ca
先ほどの質問分で誤字がありました。
「basal免疫染色」ではなく「免疫染色」です。
失礼いたしました。

カルシウムによるケラチノサイトの分化誘導 削除/引用
No.12243-1 - 2024/03/25 (月) 15:41:32 - Ca
いつも勉強させていただいております。

早速なのですが、上皮分化と、ある遺伝子Xの発現の関係性について研究しております。
(当方、大学院生です)

上皮分化が進むと遺伝子Xの発現が減少することが先行研究でわかっています。
(上皮組織のbasal免疫染色で、basal cellでは発現++だが、suprabasal layerでは-)

そこで、培養液中のカルシウムの濃度を上げることでケラチノサイトを分化誘導し、遺伝子Xの発現がどのように変化するかをウエスタンブロットで確認しました。
そのときの培養・実験条件は下記の通りです。

・使用細胞はHaCaT(カルシウム濃度0.03 mMの培地で培養)
・24時間後に約50%の細胞密度になるように播種
・24時間後に様々な濃度の高カルシウム培地に交換(カルシウム濃度0.15、0.3、0.6、1.0、1.6 mM)
・1〜6日間培養を続け、各日数での遺伝子Xの発現をウエスタンブロットで解析

その結果、遺伝子Xは4、5、6日間培養したものでカルシウム濃度依存的に発現が増加しました。

この結果は、先行研究の所見「上皮分化が進むと遺伝子Xのタンパク発現が減少」と矛盾しています。
私はこの結果から「カルシウムによる分化誘導は、単一の誘導因子による分化誘導だから矛盾した結果が得られることもあるだろう。きっとカルシウム以外の分化誘導因子が、分化に伴う遺伝子Xの減少に関わっているのではないか?」と考えたのですが、指導教官には「分化誘導しているのに、この結果はおかしい」と頭ごなしに否定されてしまいました。

カルシウムによる分化誘導が分化誘導実験でのスタンダードであることは私も理解しているのですが、今回の結果を踏まえて「カルシウム以外の分化誘導因子が、上皮分化に伴う遺伝子Xの発現抑制に関わっているのでは?」と考えることがそんなにとんちんかんなことなのでしょうか?自分が不勉強なのもそうなのですが、ちょっと落ち込んでいます。

分化誘導実験のご経験者の方のご意見を伺えると幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

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