いつも勉強させていただいております。
早速なのですが、上皮分化と、ある遺伝子Xの発現の関係性について研究しております。
(当方、大学院生です)
上皮分化が進むと遺伝子Xの発現が減少することが先行研究でわかっています。
(上皮組織のbasal免疫染色で、basal cellでは発現++だが、suprabasal layerでは-)
そこで、培養液中のカルシウムの濃度を上げることでケラチノサイトを分化誘導し、遺伝子Xの発現がどのように変化するかをウエスタンブロットで確認しました。
そのときの培養・実験条件は下記の通りです。
・使用細胞はHaCaT(カルシウム濃度0.03 mMの培地で培養)
・24時間後に約50%の細胞密度になるように播種
・24時間後に様々な濃度の高カルシウム培地に交換(カルシウム濃度0.15、0.3、0.6、1.0、1.6 mM)
・1~6日間培養を続け、各日数での遺伝子Xの発現をウエスタンブロットで解析
その結果、遺伝子Xは4、5、6日間培養したものでカルシウム濃度依存的に発現が増加しました。
この結果は、先行研究の所見「上皮分化が進むと遺伝子Xのタンパク発現が減少」と矛盾しています。
私はこの結果から「カルシウムによる分化誘導は、単一の誘導因子による分化誘導だから矛盾した結果が得られることもあるだろう。きっとカルシウム以外の分化誘導因子が、分化に伴う遺伝子Xの減少に関わっているのではないか?」と考えたのですが、指導教官には「分化誘導しているのに、この結果はおかしい」と頭ごなしに否定されてしまいました。
カルシウムによる分化誘導が分化誘導実験でのスタンダードであることは私も理解しているのですが、今回の結果を踏まえて「カルシウム以外の分化誘導因子が、上皮分化に伴う遺伝子Xの発現抑制に関わっているのでは?」と考えることがそんなにとんちんかんなことなのでしょうか?自分が不勉強なのもそうなのですが、ちょっと落ち込んでいます。
分化誘導実験のご経験者の方のご意見を伺えると幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。 |
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