温度についてソーティング前、ソーティング後、どちらを気にしているのでしょうか?
氷冷が細胞に良いと勘違いしている方を今までたまに見かけてきましたが、細胞の生存率にとっては室温の方がいいです。例えば理研バイオリソースセンター・JCRB細胞バンクの先生が書かれた「あなたの細胞培養大丈夫ですか?」(羊土社)にもそんなことが書いてあったと思います。経験的には、培地中でなくても、2% FBS-PBS中でも室温の方がベターです。
染色に関しては、ずっと室温においておいて細胞に結合した抗体がどうなるかについてはやはり事前のチェックが必要でしょう。私の経験では23℃室温でたいていの抗体では2〜3時間程度では染色はほとんど変化しないです。ただし、室温では少しずつ蛍光強度が弱くなっていく(外れている?)クローンに出会ったこともありました。また、日本のラボの冷房は節電設定ですので28℃でも大丈夫かと問われると自信がありません。まあ、わからないなら、氷冷でやっていてとりあえずその後の培養に問題を感じないというのでもいいかなとも思います。
一方、ソーティング後のフラクションは培養にもっていくまでは室温にすべきでしょう。しかし問題もあって、ソート後の純度チェックを最後にすると思いますが、室温に置いておいたものからサンプリングして信頼できるのか、特に純度が期待したより悪い時に室温待機時に抗体が外れてしまったのではないかという疑念がでるかもしれません。そのため、ソートフラクションのチューブが複数になる場合は、純度確認用に各チューブから少しずつサンプリングして氷冷しておくというのも手でしょう。
あと、細胞によってはpH変化(NaHCO3によるアルカリ性)に弱い細胞もあります(比較的強いのもいる)。ソートフラクションを受けるチューブに培地を入れる場合はほかの方がアドバイスされているようにHEPESを入れておくのが無難かと思います。pHを考えてかどうかはわかりませんがFBS-PBSで受けてる人もいます。 |
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