K7Rについて:
K7R>ヒストンメチル化促進>ヘテロクロマチン形成促進>グローバルな転写抑制>抗ウイルス因子の新規産生抑制
という経路でワクシニアウイルスはホスト細胞の抗ウイルス作用を抑制している。
通常細胞に対して、K7R欠損ウイルスでは上記の経路が働かないため、ウイルスの感染力は低下する。
多くのがん細胞ではクロマチン制御に異常があるため、野生型ウイルスの感染時でも上記K7Rによるヘテロクロマチン形成促進は効果的に働かない。ゆえにK7R欠損ウイルスでも上記経路によるウイルスの感染力への影響は少ない。がん細胞への毒性を維持したまま通常細胞への毒性を減少させることで相対的にはがん細胞への特異性が向上している。
F1Lについて:
F1Lは抗アポトーシス作用によって感染細胞のアポトーシスによる除去を抑制する。
F1L欠損ウイルスの通常細胞への感染時は、感染細胞のアポトーシスによる除去が効率的に起きるため感染の拡大が弱まる。
多くのがん細胞では、アポトーシス経路に異常があるため野生型ウイルスでもF1Lによるアポトーシス抑制の効果がもともと小さく、F1Lが欠損しても感染力への影響は小さい。F1L欠損ウイルスはがん細胞への毒性を維持したまま通常細胞への毒性が抑制されており、相対的にはがん細胞への特異性が向上している。
自分も専門ではないのですが興味をひかれたのでこの機会に調べました。その限りの理解ですが、参考になればうれしいです。また理解が不十分な点はご指摘いただければありがたいです。
素人が差し出がましいですが、とても面白いテーマで、ぜひ研究が進むとよいなと思います。 |
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