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核内タンパク質検出のための細胞溶解液の回収方法 トピック削除
No.11924-TOPIC - 2023/11/16 (木) 09:45:41 - 田舎の大学生
学部生です。

真核細胞の核内にのみ存在するタンパク質をウエスタンブロッティングで検出するため、細胞溶解液を調製しようと思っています。その際の回収方法として、

@SDS含有バッファーを含む細胞液を超音波処理を行って回収する

Abenzonase ヌクレアーゼを用いて回収する(分画はしません)

のどちらがより良いと思われますか。理由も教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。
 
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(無題) 削除/引用
No.11924-11 - 2023/11/18 (土) 05:09:54 - おお
Preliminary experiments were carried out to determine the maximal
NP-40 concentration which yielded intact nuclei (NIH 3T3: 0.5%,
CTLL-2: 0.5%, ES: 0.05%, PC-12: 2%). T

https://core.ac.uk/download/pdf/82659508.pdf

Nonidet P-40などの界面活性剤に核膜は比較的強いとは言われるけど、それは程度の問題で、Mgイオン存在下でもそれはバッファーと細胞の量比、デタージェント濃度に左右されます。また核を単離するときは塩濃度をかなり下げて(10mM程度)核内のタンパクの溶出などを抑えた条件でやることがたいていです。

>MgCl2は核膜の保護、安定化に寄与します。これは特に、NP40などの非イオン性界面活性剤によって核エンベロープなど(そこに結合した微小管含む)を可溶化して、

核膜と核エンベロープの定義は?ほぼ同義に思えるけど、、、

(無題) 削除/引用
No.11924-10 - 2023/11/18 (土) 01:10:32 - U
DNAのせん断に関して超音波処理は勧めません。割合としては少ないながら、蛋白質のペプチド結合が切れることがあります。(実際、超音波したら分解したことあります)
DNAの問題は核画分の沈殿をSDS sample buffer に溶解したのち、一番細いかその次くらいの注射針で5、6回ゆっくり出し入れすればたいてい粘性無くなります。粘性がなくなれば電気泳動で問題生じたはないです。

MgCl2は核膜の保護、安定化に寄与します。これは特に、NP40などの非イオン性界面活性剤によって核エンベロープなど(そこに結合した微小管含む)を可溶化して、核画分に混入しないようにする際に大切です。

大きな複合体を形成せず分子量の小さい核タンパク質は核膜孔から漏れますが、このような問題はレクチンを添加すると抑えられるという論文を前に見ました。今見つからないので興味あれば調べてください。

(無題) 削除/引用
No.11924-9 - 2023/11/17 (金) 20:44:06 - 田舎の大学生
お二方、返信・ご回答ありがとうございました。大変参考になり、また知らないことが多かったため大変勉強になりました。

分からないことがあれば、またここで質問させていただきます。そのときはよろしくお願いします。

(無題) 削除/引用
No.11924-8 - 2023/11/17 (金) 12:22:15 - おお
>[Re:7] G25さんは書きました :
> 昔からMg++の添加は、それこそintactな核を分画するときに核を固くして壊れにくくするためにする手でして。DNAによるlysateの粘性が抑えられるというのは、核が破れておらず中身が溶出していないというだけじゃないでしょうか。核タンパク質を分析しようというのにそれじゃまずいんじゃなかろか。

RIPA bufferは1% Triton x100、0.2−1% Deoxycholate、0.1% SDSというデタージェントが入ってますので、核が壊れないというほど弱いバッファーでもないと思ってます。実際に核マトリクス成分やヒストンも検出できています。ただそれらは完全に抽出できているかはわかりませんが、少なくとも核はインタクトではなく、ほとんどのタンパクが核マトリクスやクロマチンから溶出されていると思ってます。

(無題) 削除/引用
No.11924-7 - 2023/11/17 (金) 10:40:28 - G25
昔からMg++の添加は、それこそintactな核を分画するときに核を固くして壊れにくくするためにする手でして。DNAによるlysateの粘性が抑えられるというのは、核が破れておらず中身が溶出していないというだけじゃないでしょうか。核タンパク質を分析しようというのにそれじゃまずいんじゃなかろか。

先程ふれた、核の分画のときにはもちろんMg++添加条件でやって、分画したらEDTA入りのlysisバッファーで中身を溶出します。

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/002215549704501001?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

(無題) 削除/引用
No.11924-6 - 2023/11/17 (金) 05:05:52 - おお
一つ補足ですが、核内にあるタンパクだからと言ってbenzonaseでDNAを消化したりしないといけないということでもないです。1%NP40だけでもかなりの核タンパクが溶出してきます(理想的とまでは言えない)。

よく使うのがRIPA bufferでこのバッファーではクロマチンなども完全にDNAから離れるのでドロドロになります。注射器と針を使ってDNAを剪断するか超音波を使うかしないと扱えないと思います(もしかしたらビードビーターというビーズを入れて激しく振ってくれる装置なども使えるかもしれません)。

RIPA bufferでドロドロになるのを防ぐためには、2mMぐらいのMgCl2を加える(たぶんクロマチンの構造を安定化しているようにおもう)手はあります。しかしクロマチンやDNAに強く結合しているものはもしかしたら可溶化できてないかもしれません。違う方法は、細胞のペレットにグラスビーズを同じ容量ぐらい加えて、RIPA bufferを加える。ボルテックスして細胞を破砕、たんぱくを溶出する。そうするとDNAはビーズとアフィニティーがありビーズに絡まって遠心したときにグラスビーズとともに沈降します。

実験や対象のタンパクによってはいつもこれがベストというわけではありませんので柔軟に対応してください。

(無題) 削除/引用
No.11924-5 - 2023/11/16 (木) 19:57:07 - 田舎の大学生
お二人とも丁寧なご説明ありがとうございます。また注射針でのホモジナイズや核の画分を取る方法をご提案いただきありがとうございます。知識がないため、よく調べさせていただき、分からないことがあればまた書き込ませていただきます。



説明不足でしたが、benzonase使用時のlysis bufferは1%NP40を用いております。

超音波処理の時、「粘性がなくなるまで超音波処理をする」と習い、現状30秒 5サイクル×3セットを基本としておりますが、それではお二人がおっしゃるようにタンパクが裁断されている可能性が否定できません。処理を減らすことによって出る粘性への対策として有効なことはありますでしょうか。

(無題) 削除/引用
No.11924-3 - 2023/11/16 (木) 16:24:27 - G25
>@SDS含有バッファーを含む細胞液を超音波処理を行って回収する
超音波でなくて、注射針とシリンジでやる方法もあります。プランジャーを上下してlysateを注射針の中を往復してDNAをせん断します。
エアロゾル、騒音や熱を発しない、超音波でせん断されるようなタンパク質もintactに保てるなど、メリットがあります。
サンプルバッファそのままで(定量するなどの場合によってはBPBを別添)ホモジナイズできるのでスマート。

対して、
>Abenzonase ヌクレアーゼを用いて回収する(分画はしません)
benzonaseはサンプルバッファーの組成のSDSでは短寿命なので、処理量を加減するか、サンプルバッファでないlysis用のバッファで別途ホモジナイズするか。


あと、核内タンパク質を標的にしているなら、核の画分をとると切れ味がよくなるかも。核は簡単な粗分画で濃縮できるから(内部標準をlamin, TBP, Histonなどの核タンパク質にして)。

(無題) 削除/引用
No.11924-2 - 2023/11/16 (木) 11:20:00 - おお
Abenzonase ヌクレアーゼを用いて回収する

benzonaseはLysateに加えるものだと思いますが、そのLysis bufferがわからないのでいまいちピンときません。

@の場合、Total lysateとしては取りこぼしがないわけですが、裁断されたDNAがあるせいか、バンドがちょっと汚くなることがまあまああります、またDNAを細かくしようと頑張りすぎると、たんぱくも(特に高分子のもの)ある程度壊れるようです。

Aの場合DNAは酵素で消化されます。なので@程ひどくない可能性が高いと思います。ただTotal lysateとしてよく使われるLysis bufferであっても、うまく溶けない取りこぼしはあると思います。あなたのたんぱく質が溶けないフラクションに行ってなかったらOKです。

核内タンパク質検出のための細胞溶解液の回収方法 削除/引用
No.11924-1 - 2023/11/16 (木) 09:45:41 - 田舎の大学生
学部生です。

真核細胞の核内にのみ存在するタンパク質をウエスタンブロッティングで検出するため、細胞溶解液を調製しようと思っています。その際の回収方法として、

@SDS含有バッファーを含む細胞液を超音波処理を行って回収する

Abenzonase ヌクレアーゼを用いて回収する(分画はしません)

のどちらがより良いと思われますか。理由も教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。

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