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マウス皮膚組織(表皮+真皮)からのRNA抽出の困難性 トピック削除
No.11459-TOPIC - 2023/05/22 (月) 16:57:45 - seki
主に皮膚を扱っている大学院生です。
皮膚組織からのRNA抽出→cDNA合成→qPCRが上手くいかず困っています。
具体的には、ほぼ全ての遺伝子が、qPCRのCt値で35以上から測定不能となります。

測定状のRNAの品質・濃度がそこまで悪くなく、十分量のサンプルを使用してqPCRをかけているつもりなだけに、かかりが悪すぎるのは本物ではなく、何か問題があるのだと思います。
・測定しているのはIL6などのサイトカインが中心です
・18srRNAやβactinなどはかろうじてCt 25程度でかかります。
・他組織ではCt値はいずれも20台で出ます

プライマー云々ではなく、皮膚サンプル特有の問題があるのだと考えていますが、当研究室で皮膚組織を扱う者がおらず、問題点が明確化しません。
以下に実験手順を示しますので、お気づきのことがございましたらご教授ください。

<サンプリング>
マウスを使用。
麻酔下でバリカンと除毛クリームを使いツルツルの状態にした後でサクリファイス。
背部皮膚を切除し、脂肪組織は剪刀やキムワイプでの擦過などで可及的に除去。
一度液体窒素で凍結保存(-80℃)。
サクリファイスからサンプル凍結までは 5分程度です。

<RNA抽出>
30mg程度の組織を液体窒素で凍結し、同じく液体窒素で冷やしたビーズと共に、まずマルチビーズショッカーでホモジナイズ。
粉状に凍結粉砕された組織にSepasol®-RNA I Super Gを1mL追加(この時点で一度sepasolは凍結します。逆に言うと組織の凍結は保たれています)。もう一度ホモジナイズ(熱が出ない程度で。組織は泥状で、元のシート構造は保たれません)
以降はメーカープロトコルに従って抽出を行います。

<RNA濃度測定>
NanoDrop Oneを用いて測定。
上記方法だと、計測上で500ng/uL以上は出ます。A260/280は1.8~1.9前後になることが多いです。

<cDNA合成>
RNA抽出当日のうちに合成するようにしています。
ReverTra Ace® qPCR RT Master Mix with gDNA Removerをメーカープロトコル通りに使用します。
できるだけRNAはMaxまで(500ng)使用します。
その後は-30℃保管です。

<qPCR>
上記cDNAは4倍〜8倍に希釈してサンプルにしています(Invitrogen UltraPure DNase/RNase-Free Distilled Water)
THUNDERBIRD® Next SYBR® qPCR Mixをメーカプロトコル通りに使用しています。

<全体通して>
マスク、手袋、清拭、生検体での凍結融解の回避などは気をつけています。

ここまで長文にもかかわらず読んでいただきありがとうございます。
改めてご教授いただけますと幸いです。
 
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(無題) 削除/引用
No.11459-10 - 2023/05/24 (水) 09:12:28 - G25
>上記方法だと、計測上で500ng/uL以上は出ます。A260/280は1.8~1.9前後になることが多いです

たしかに、、、
濃度を言われても終体積が示されていないので収量が分からず、したがって収率もわからないですね。精製の妥当性を評価するのに収率の情報は大事。

(無題) 削除/引用
No.11459-9 - 2023/05/23 (火) 23:48:06 - SYBR master
>sekiさんは書きました :
>・18srRNAやβactinなどはかろうじてCt 25程度でかかります。
>・他組織ではCt値はいずれも20台で出ます
18Sについてはやったことが無いですが、β-actinはその程度だったと記憶しています。組織によって、β-actinやGAPDH、いわゆる内在性コントロールの立ち上がり数値は異なります(確か論文有ったはずです)ので、同一組織での比較ならコントロールになり得ますが、異組織間のCt値比較は無意味です。因みにtestisやskeletal muscleは、GAPDHですが同一のtotal RNA量でもct30-35に近い値だったような記憶があります。これで比較すると、全ての遺伝子が、testisで異常に高発現している事になるのでおかしいと判断し、その比較データは論文では使用しませんでした。

>・測定しているのはIL6などのサイトカインが中心です
サイトカインがskin(血管が無いepidermisでは無く特にdermisでしょうけど)で恒常的に発現していると考える理由が、そこで炎症でも起こしていれば別だけど発現しているかもしれないと考えるその理屈よく解んないです。そもそもRT-qPCRでも検出限界以下(発現していない)である方が普通では無いのですか?

>上記方法だと、計測上で500ng/uL以上は出ます。
わずか20mgの皮膚片でその収量には多少疑問があります。skinやskeletal muscleは結合組織が多く組織重量の割にRNAは殆ど取れなかったと記憶しています(そもそも生体活動している細胞が重量に対して少ないし)。古い記憶なのでここら辺は、今現状でskinからRNA取っているTSさんの方が詳しいと思いますけど、記憶違いなら先に「ゴメンナサイ」しておきます。

とりあえず、本当に500 ng/uLで取れているなら、10 uL使用して電気泳動して、rRNAが壊れていないことを確認したほうが早いのでは無いでしょうか。total RNAが5 ug有れば変成ゲルでは無くても、電気泳動でrRNA確認できますよ。たしか3rd partyから一般的なTAEゲルでもRNAの電気泳動ができるDyeが売られていますので、たとえアジレントのバイオアナライザーが無くても、考えるより簡単に泳動できますので確認は容易ですよ。

もし阻害物質の混入が疑われるのであれば、各メーカーからでているclean-up kit(液体からのカラム系精製キット)を使用すれば除けます。

(無題) 削除/引用
No.11459-8 - 2023/05/23 (火) 17:30:56 - seki
たくさんのコメントありがとうございます。
阻害物質の除去が重要であることがよくわかりました。

皮膚からだとムチンなどのムコ多糖も多いようなので、とりあえず安くできるLiCl沈殿法は試してみようと思います。
NucleoSpin® Inhibitor Removalのような除去キットも試用品などから試してみようかと。

また、基本的にRNeasy mini kitなどのスピンカラムを使用するものは、阻害物質除去ができているものと考えても良いでしょうか?

(無題) 削除/引用
No.11459-7 - 2023/05/23 (火) 08:36:27 - TS
ほぼ同じようなキットと方法で皮膚やってますが、特に問題起きてないです。
(セパゾール、ビーズ破砕、リバトラ、サンダーバード)

特殊な実験でなければ阻害物質が特段多い組織とは思いません。

違うのは、ビーズ破砕をセパゾール中でやっています。
皮膚組織は、解剖時にRNAlaterに入れています。

トピ主さんは液体窒素中で破砕してからセパゾールを入れているようで、
凍結したままということですが、このあたりでRNAが劣化してないかなと思いました。

(無題) 削除/引用
No.11459-6 - 2023/05/23 (火) 06:21:54 - おお
念のため、RNAのクオリティーをバイオアナライザーで見ておいたほうがいいかもしれません。あるいは尿素存在かなどで変性させて、1%ぐらいのTAEアガロースゲルで10分程度電気泳動してRibosomal RNAを検出して分解されていないか確認するか。

(無題) 削除/引用
No.11459-5 - 2023/05/23 (火) 01:05:24 - おお
皮膚だとメラニン混入も気になりますね。メラニンはPCRの阻害物質ですから。マウスはC57BL/6とかですか?ならメラニンとか多そうです。

もし300b以下ぐらいのRNAが対象外なら、精製したRNAをLiClで沈殿させて遠心で回収するのが早いかもしれません。RNAは2.5から3.75Mで沈殿します。

(無題) 削除/引用
No.11459-4 - 2023/05/22 (月) 19:37:22 - あの
同じ材料ではありませんが、抽出したRNAに阻害物質が含まれている疑いがある場合には、
そのRNAに対して、もう一度、抽出操作をするとうまくいった経験があります。


なんとなくですが、体の表面には様々な阻害物質があるにだろうなと思っています。

(無題) 削除/引用
No.11459-3 - 2023/05/22 (月) 19:01:22 - mel
qPCR時、1WellにアプライするcDNAの量は十分でしょうか。
私はマウスの皮膚で行う際、10ng程度入れています。

(無題) 削除/引用
No.11459-2 - 2023/05/22 (月) 17:47:27 - G25
PCRの阻害物質が含まれている。
AGPC法であれば一層、可能性は高い。

皮膚由来だとコラーゲンやメラニンがよく知られていると思う。
阻害物質除去キットや阻害物質を中和する添加剤が
いろいろあると思うので検討してみては。

また、インプットを最大限にしていますが阻害物質の持ち込みも多くなるので、多けりゃ良いってもんでもないです。むしろ最小限にしたほうが成績が良かったりして。PCRなんだから系に問題がなければ鋳型量がかなり少なくなってもストライクゾーンに収まるもの。

マウス皮膚組織(表皮+真皮)からのRNA抽出の困難性 削除/引用
No.11459-1 - 2023/05/22 (月) 16:57:45 - seki
主に皮膚を扱っている大学院生です。
皮膚組織からのRNA抽出→cDNA合成→qPCRが上手くいかず困っています。
具体的には、ほぼ全ての遺伝子が、qPCRのCt値で35以上から測定不能となります。

測定状のRNAの品質・濃度がそこまで悪くなく、十分量のサンプルを使用してqPCRをかけているつもりなだけに、かかりが悪すぎるのは本物ではなく、何か問題があるのだと思います。
・測定しているのはIL6などのサイトカインが中心です
・18srRNAやβactinなどはかろうじてCt 25程度でかかります。
・他組織ではCt値はいずれも20台で出ます

プライマー云々ではなく、皮膚サンプル特有の問題があるのだと考えていますが、当研究室で皮膚組織を扱う者がおらず、問題点が明確化しません。
以下に実験手順を示しますので、お気づきのことがございましたらご教授ください。

<サンプリング>
マウスを使用。
麻酔下でバリカンと除毛クリームを使いツルツルの状態にした後でサクリファイス。
背部皮膚を切除し、脂肪組織は剪刀やキムワイプでの擦過などで可及的に除去。
一度液体窒素で凍結保存(-80℃)。
サクリファイスからサンプル凍結までは 5分程度です。

<RNA抽出>
30mg程度の組織を液体窒素で凍結し、同じく液体窒素で冷やしたビーズと共に、まずマルチビーズショッカーでホモジナイズ。
粉状に凍結粉砕された組織にSepasol®-RNA I Super Gを1mL追加(この時点で一度sepasolは凍結します。逆に言うと組織の凍結は保たれています)。もう一度ホモジナイズ(熱が出ない程度で。組織は泥状で、元のシート構造は保たれません)
以降はメーカープロトコルに従って抽出を行います。

<RNA濃度測定>
NanoDrop Oneを用いて測定。
上記方法だと、計測上で500ng/uL以上は出ます。A260/280は1.8~1.9前後になることが多いです。

<cDNA合成>
RNA抽出当日のうちに合成するようにしています。
ReverTra Ace® qPCR RT Master Mix with gDNA Removerをメーカープロトコル通りに使用します。
できるだけRNAはMaxまで(500ng)使用します。
その後は-30℃保管です。

<qPCR>
上記cDNAは4倍〜8倍に希釈してサンプルにしています(Invitrogen UltraPure DNase/RNase-Free Distilled Water)
THUNDERBIRD® Next SYBR® qPCR Mixをメーカプロトコル通りに使用しています。

<全体通して>
マスク、手袋、清拭、生検体での凍結融解の回避などは気をつけています。

ここまで長文にもかかわらず読んでいただきありがとうございます。
改めてご教授いただけますと幸いです。

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