PyroBest、久々に聞いた。
とっくに後続の新製品に置き換わってるはず。
まだ売ってるみたいだけど、おそらく過去の実験の再現性のためだけで、
オワコンだよね。
2 step PCRには目的を異にする2とおりがあると思います。
1つめは、標的配列が短い場合、伸長ステップを省き時間を節約する目的。
熱変性温度とアニール温度を繰り返して、伸長はアニールや変性温度への移行の間で行わせる。この目的ではプライマーのTmは無関係にできる。
2つめは、質問にあるようにTmが伸長温度に近いかそれ以上の温度のプライマーを使って、熱変性温度と伸長温度を繰り返す方法。アニールのために温度を下げないことによって、非特異的伸長を防いだり、テンプレートの二次構造を防いで長鎖の伸長を助けたりする。
この場合、TAKARAはとくに言及していないけど、他所のメーカーなんかだとプライマーのTm を60~65℃以上がいいなんて言っている。
信頼性の高い、NJ法で計算するとそんなに長くないプライマーでもそれぐらいいくから、たいてのプライマーはその条件を満たすと思う。
また、Taqを使った初期のPCRプロトコールでは伸長温度72℃というのが普通だったけど、最近のアーキア系の酵素ばかりでなくTaq系でも68℃とか65℃というプロトコールが多くなっている。実際、多少低温度でも十分な伸長速度はあるからね。プライマーのTmが少々低くても伸長温度が低めだとそれほど悪くないかも。
最後に、Tmは相補鎖対の1/2が対合する温度であって、Tmより温度が少々高くてもプライマーが全くアニールしなくなるわけではないこと。割合が少なくなってもアニールしたプライマーからPCRはかかり、非特異的伸長を防ぎ長鎖伸長が促されるならメリットはある。増幅効率が下がるならサイクル数を上げるなりすればいい。ということを考えると、PCR産物の収量と品質のトレードオフになるかもしれないが、伸長温度よりかなり低いTmのプライマーでも2 step PCRはダメとは言い切れない。
要はどっちが良いか、どっちも良いか、は実験毎に違い、一概にプライマーのTmのコレっと決めつけられない(だからTAKARAは明言を避けているんだと思う)。 |
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