>[Re:3] G25さんは書きました :
> qPCRのためのRTはrandom pimerかrandom pimerとolido dT primerのミックスでやるのが常識といっていいでしょう。
常識が、20年以上古いのです(ゴメンナサイ)、確かに昔はそう言われてました。しかし現在では、random primer(N6)を利用した場合、Thermoも書いていますが、「幾つかのRT-PCRアプリケーションにとっては理想的ではありません。例えば、mRNAのコピー数が過剰に見積もられてしまうことが懸念されます[ref]」
ref
Zhang J, Byrne CD (1999) Differential priming of RNA templates during cDNA synthesis markedly affects both accuracy and reproducibility of quantitative competitive reverse-transcriptase PCR.Biochem J337 (Pt 2):231–241.
N6でRTを行った場合、投入した核酸、RNAのみならずDNAも鋳型として利用される可能性がありますし、rRNAが存在した場合mRNAのRT効率も下がるし、データの信頼性も下がります。またこの場合、qPCRを行うときは5末に近い場所にPCR用のprimerを設定しなければならず、現在販売されているRTaseの多くは、鎖置換活性(strand displacement activity, SDA)を持つモノが多いため、N6でRTを行うと5末に近いcDNA断片だけがmRNAのコピー数以上に作成されます。N6(4,096種類)の個々のprimerのpriming rateはTmに依存=配列に依存するので、違う遺伝子のコピー数比較はCt値では基本無理になります(まあしないけど)。Oligo-d(T)でRTを行った場合、1.5 kb以内にqPCR用primerを設定していれば、現在は何の問題も無いとされています。EukaryoteのmRNAの平均鎖長は1.5-2.0 kb位ですから、余り気にしないで設定できるはずです。
アンチセンスRNAの転写物も最近はよく報告されているので、「cDNAはmRNAで由来あるので、PCR産物はmRNA由来である」の根拠として、oligo-d(T)の使用(ただしアンカーd(T)だけど)は現在は常識とまでいえないかもしれないですが「普通」であると私は考えています。
RNA virusの研究をしていたとき行っていたのは、今回のSARS-Cov2検出と同様に検出はd(T)とN6のミックス(検出が最重要)、strand(+ or -)を限定するときはspecific primer、mRNAで有ることを証明するときはd(T)のように目的によって使い分けるのが、研究者としては「常識」だと思います。 |
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