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qPCRの逆転写効率が悪い トピック削除
No.11378-TOPIC - 2023/04/18 (火) 15:20:03 - 尾静脈注射
質問させてください。
qPCRのために逆転写を実施しています。
脳のprimary cultureで細胞を回収し、セパゾールでRNS回収→生成後にRTを行っています。
Oligo(dT)12-20 0.5 ul
5x Buffer 4 ul
10mM dNTPs 2 ul
RevrTra Ace® 1 ul
RNA (3000ng) 1ul
計 20 ul

で行った後にサンプルを5倍希釈してqPCRを実施しています。
その結果B-ActinのCT値が30程度となり、かなりPCR効率が悪いことがわかりました。
(他の遺伝子はCT値が40近いです)
Primerは使えるもので選定済みなのですが。明らかにPCR効率が悪いです。
逆転写のprotocolを見ますとRNA量のmaxが500ngになっている事が多いのですが、こちら何か理由はあるのでしょうか?
アドバイスあればご教授ください。
宜しくお願い致します。
 
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(無題) 削除/引用
No.11378-7 - 2023/04/21 (金) 22:18:10 - SYBR master
>[Re:3] G25さんは書きました :
> qPCRのためのRTはrandom pimerかrandom pimerとolido dT primerのミックスでやるのが常識といっていいでしょう。

常識が、20年以上古いのです(ゴメンナサイ)、確かに昔はそう言われてました。しかし現在では、random primer(N6)を利用した場合、Thermoも書いていますが、「幾つかのRT-PCRアプリケーションにとっては理想的ではありません。例えば、mRNAのコピー数が過剰に見積もられてしまうことが懸念されます[ref]」

ref
Zhang J, Byrne CD (1999) Differential priming of RNA templates during cDNA synthesis markedly affects both accuracy and reproducibility of quantitative competitive reverse-transcriptase PCR.Biochem J337 (Pt 2):231–241.

N6でRTを行った場合、投入した核酸、RNAのみならずDNAも鋳型として利用される可能性がありますし、rRNAが存在した場合mRNAのRT効率も下がるし、データの信頼性も下がります。またこの場合、qPCRを行うときは5末に近い場所にPCR用のprimerを設定しなければならず、現在販売されているRTaseの多くは、鎖置換活性(strand displacement activity, SDA)を持つモノが多いため、N6でRTを行うと5末に近いcDNA断片だけがmRNAのコピー数以上に作成されます。N6(4,096種類)の個々のprimerのpriming rateはTmに依存=配列に依存するので、違う遺伝子のコピー数比較はCt値では基本無理になります(まあしないけど)。Oligo-d(T)でRTを行った場合、1.5 kb以内にqPCR用primerを設定していれば、現在は何の問題も無いとされています。EukaryoteのmRNAの平均鎖長は1.5-2.0 kb位ですから、余り気にしないで設定できるはずです。

アンチセンスRNAの転写物も最近はよく報告されているので、「cDNAはmRNAで由来あるので、PCR産物はmRNA由来である」の根拠として、oligo-d(T)の使用(ただしアンカーd(T)だけど)は現在は常識とまでいえないかもしれないですが「普通」であると私は考えています。

RNA virusの研究をしていたとき行っていたのは、今回のSARS-Cov2検出と同様に検出はd(T)とN6のミックス(検出が最重要)、strand(+ or -)を限定するときはspecific primer、mRNAで有ることを証明するときはd(T)のように目的によって使い分けるのが、研究者としては「常識」だと思います。

(無題) 削除/引用
No.11378-6 - 2023/04/21 (金) 21:30:11 - SYBR master
>[Re:1] 尾静脈注射さんは書きました :
> 脳のprimary cultureで細胞を回収し、セパゾールでRNS回収→生成後にRTを行って

セパゾールは基本、AGPC(Acid Guanidinium Phenol Chloroform)法なので、最終的にエタチンでRNAを回収しますが、その時実験室の環境(温度、湿度)の影響で、エタノール(EtOH)が完全に飛んでいないことがあります。EtOHはほぼ全ての酵素反応で阻害剤として働きますので、学生や研究員がRNAやDNA関連実験で上手くいかないときやデータがバラつくときは、精製時のEtOH混入に留意するように伝えています。

EtOH残留は実は結構頻繁に起きていて、知らないと対処が難しいトラブルでもあります。その昔、理研で大規模シークエンスが行われていた際に、自動plasmid抽出の機械がエタチンした際に、冬だとEtOHの飛が悪く季節性の歩留まりの悪さが多発した話を聞いたことがあります。なので、下手とか上手いとか余り関係なく起きる問題でもあります。また、EtOHの混入はカラム系の精製キットでも頻繁に起きるトラブルで、各メーカーはそれに対処するために、カラムの形を変えたり(昔は底が平面、最近は漏斗型が多い)、最終遠心を追加(遠心後廃液し、さらに遠心みたいな)したりしています。

EtOHの残留は結構簡単に調べられます。サンプルを電気泳動に流そうと、final 5%程度のグリセロールになるように6×Dyeと混ぜると思いますが、EtOHがわずかに残っていると、ゲルのウェルにサンプルが沈まず、浮いてきます(結果、ほどよい絶望感を味わえます)。

(無題) 削除/引用
No.11378-5 - 2023/04/18 (火) 16:30:55 - おお
私は、単純にRNAが壊れいるのではないかと思いました。それか、RNA溶液に何らかのRTを阻害するようなものの持ち込みか。

また、RNAが分解しているかどうかは変性して電気泳動するか、バイオアナライザーで分析すると解ります。

(無題) 削除/引用
No.11378-4 - 2023/04/18 (火) 16:04:25 - G25
>逆転写のprotocolを見ますとRNA量のmaxが500ngになっている事が多いのですが、こちら何か理由はあるのでしょうか?

インプットのRNA量が多いほど、逆転写効率(cDNA産物量/インプットRNA量)は当然落ちます。インプットが多くしていけば当然cDNA産物量も増えますが、比例ではなく増加が鈍化していきますから、効率としては落ちるわけです。

ということはRNA量を増やせば増やすほど逆転写を受けないRNAの部分は増えるわけで、これは定量性にバイアスをかける原因になりえます。
RT-qPCRするなら鋳型RNA量を絞って、投入したRNA全体がなるべくまんべんなく逆転写されバイアスがかからないようにするのがいいと思います。どうせPCRするんだからもとの量がひとけたくらい少なくたってストライクゾーンにはいるはず。

(無題) 削除/引用
No.11378-3 - 2023/04/18 (火) 15:51:17 - G25
qPCRのためのRTはrandom pimerかrandom pimerとolido dT primerのミックスでやるのが常識といっていいでしょう(olido dTはcDNAクローニングなんかで完全長cDNAを一本取りしたいときなんかに使う)。

単純にRT効率(input RNAに対するcDNAの合成量)で比較してもoligo dTが良くて15-20%くらい(悪ければ10%以下)なのに対してrandomだと50%は行ったと思います(cDNAライブラリ作成のときキットの説明書の記述や、自身でRIトレーサーでモニタした結果から)。

逆転写酵素は鋳型から離脱しやすく鋳型の二次構造を乗り越える能力も低いので、ほかのDNA polymeraseのように伸長性や伸長速度が高くありません(たとえばKlenowなんかだと合成効率はほぼ100%,あるいはそれ以上)。
なので合成距離が長いほど不完全になります。
oligo dT-poly Aからのみ出発したら、3'付近ばかりが逆転写されて、長ければ長いほど5' 側がunder-representになります。つまりバイアスがかかるわけで、定量解析には向きません。

ReverTra AceにはRT-qPCR用にrandom pimerとolido dT primerが入ったプレミックスもあったよね。

qPCRの逆転写効率が悪い 削除/引用
No.11378-1 - 2023/04/18 (火) 15:20:03 - 尾静脈注射
質問させてください。
qPCRのために逆転写を実施しています。
脳のprimary cultureで細胞を回収し、セパゾールでRNS回収→生成後にRTを行っています。
Oligo(dT)12-20 0.5 ul
5x Buffer 4 ul
10mM dNTPs 2 ul
RevrTra Ace® 1 ul
RNA (3000ng) 1ul
計 20 ul

で行った後にサンプルを5倍希釈してqPCRを実施しています。
その結果B-ActinのCT値が30程度となり、かなりPCR効率が悪いことがわかりました。
(他の遺伝子はCT値が40近いです)
Primerは使えるもので選定済みなのですが。明らかにPCR効率が悪いです。
逆転写のprotocolを見ますとRNA量のmaxが500ngになっている事が多いのですが、こちら何か理由はあるのでしょうか?
アドバイスあればご教授ください。
宜しくお願い致します。

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