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シクロへキシミド効果について トピック削除
No.11327-TOPIC - 2023/04/01 (土) 19:35:47 - CHX
いつも勉強させていただいております。
私は今、あるタンパク質の点変異の効果を調べています。
その点変異を持つとタンパク質の発現量が大幅に減ることがわかっています。

そこでタンパク質の半減期を調べるために野生型もしくは変異型を発現する細胞に対して、シクロへキシミド処理をし、その時点で発現しているタンパク質の安定性を評価しました。予想としては点変異があるとより速やかに分解されると仮説を持っています。

ところが結果は全くの逆になり、野生型は18時間で約半分の発現量になるのに対し、変異型では18時間が経っても10%程度しか減少していませんでした。

この結果は予想に反するもので、その変異があるとタンパク質の超安定化?を引き起こしいているのではと思えてきました。それにより機能欠失という例というのは、調べ方が悪いのか聞いたことがありません。

皆様の中で、そのような例をご存知の方がいらっしゃいましたらご教示いただけませんでしょうか?

なお、MG132やクロロキン処理でもその変異体の発現量は変わりませんでした。
コメントをいただけましたら大変助かります。どうかよろしくお願いいたします。
 
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16件 ( 1 〜 16 )  前 | 次  1/ 1. /1


(無題) 削除/引用
No.11327-16 - 2023/04/04 (火) 18:13:13 - pknn
>その点変異を持つとタンパク質の発現量が大幅に減る
これはウェスタンで見ているのでしょうか。
点変異で抗体の認識が弱まって、シグナルが低く見えている可能性は無いでしょうか。

もしそうでしたらエピトープと変異の部位を確認して他の抗体で検出、タグ付きならタグの抗体で検出すると良いかも知れません。

(無題) 削除/引用
No.11327-15 - 2023/04/04 (火) 17:03:05 - G25
>私は、もともとの発現量が違うのが主要因で、実は分解速度は野生型と大差ないのではないかと疑っています。

もちろん、一個のmissense変異で、発現量の減少と、分解速度の低下(それと機能喪失)が同時に起こっている可能性は否定しません。
ただ、果たしてその実験は野生型より変異型のほうが分解速度が遅いと結論づけるのに十分な精度と切れ味をもっているのだろうかというところが疑問でした。

(無題) 削除/引用
No.11327-14 - 2023/04/04 (火) 09:36:40 - G25
>結果として半減期が延長して細胞の中に溜まっていくということではないでしょうか。

前提をお忘れではないでですか。
まず、
>その点変異を持つとタンパク質の発現量が大幅に減ることがわかっています。
という現象があります。
そのメカニズムとして安定性の低下、分解速度の上昇を考えたけれど、分解速度はむしろ低下していた、というストーリーですので。

私は、もともとの発現量が違うのが主要因で、実は分解速度は野生型と大差ないのではないかと疑っています。
・変異型は野生型よりもともとタンパク質量が大幅に少ないので、CHX処理のスター時点で、両者は条件が同じではない。

・「タンパク質の半減期」とは言うけど、生化学的な反応なので、放射性崩壊のようにどの時期、どの現存量のときにも同じ速度で半減するとは限らないだろう。例えば基質濃度が低くなると分解が進みにくくなるかもしれない。

・タンパク質の現存量の測定の方法はなんだろうか。例えばPOなど酵素で検出するウェスタンブロットでバンドの強度を見るような方法だと、タンパク質量と強度はリニアではない。どっちが多いか少ないかはわかるけど、何倍、何%違うかは言い難い。特に標的タンパク質の量のレンジが異なる場合(つまり野生型と変異型)、タンパク質の減少率が同じでも、バンド強度の減少率は違うだろう。

(無題) 削除/引用
No.11327-13 - 2023/04/04 (火) 01:41:20 - おお
>[Re:12] 1さんは書きました :
> 細胞機能の維持には蛋白質の合成と分解のバランスが重要です。蛋白質の高次構造が野生型と異なる事で、うまく分解されにくくなり、結果として半減期が延長して細胞の中に溜まっていくということではないでしょうか。

最大の矛盾は細胞などのこの変異タンパクの実験系で発現量が減っていることです。

もしかしたら分解のスピードは発現量に依存しているかもしれませんね。そういう意味では変異を発現した細胞においてエンドの正常とのたんぱくと比べてみるのも手かもしれません。

パルスチェイスの代替えとしてTet誘導性のものを使う手もありますね。Tet-onなら一定期間Tetを加えて、Tetを抜くとか。

(無題) 削除/引用
No.11327-12 - 2023/04/03 (月) 22:58:42 - 1
細胞機能の維持には蛋白質の合成と分解のバランスが重要です。蛋白質の高次構造が野生型と異なる事で、うまく分解されにくくなり、結果として半減期が延長して細胞の中に溜まっていくということではないでしょうか。神経難病をはじめいろいろな疾患において、分解されるべき蛋白質が壊されにくくなる事でそうしたものが異常蛋白質として細胞の中に溜まっていくことと関係している(蛋白質のターンオーバーの異常といいます)ことをかんがえたとき、変異蛋白質の半減期が延長するということは(蛋白質代謝の分野で仕事してる人から見たらむしろ)とても重要な発見だとおもうのですが。
変異により高次構造が変化して溶解性などが変化して細胞内で凝集や不溶化とかおこすとプロテアーゼの作用をうけにくくなり、分解されにくくなります。そういう病気はいろいろありますから調べてみてください。もともと分解されにくくなっていれば、MG132やクロロキン いれても結果はあまり変わらないとおもいます。一度細胞を蛍光抗体法で染色して当該蛋白質の野生型と変異型の細胞内分布を比較されることをすすめます。また細胞を界面活性剤あり、なしあるいは種類を変えて段階的な可溶化をしてみても良いとおもいます。野生型と変異型が異なる画分に回収されるかもしれません。

(無題) 削除/引用
No.11327-11 - 2023/04/03 (月) 22:09:04 - G25
>これはまた別の話だとおもいますけど、開始ATGの次のヌクレオチドの置換による翻訳効率の低下(たぶん翻訳開始コンセンサスからの逸脱)

リンクを貼り忘れた、
https://www.jci.org/articles/view/118930

(無題) 削除/引用
No.11327-10 - 2023/04/03 (月) 19:12:15 - G25
塩基置換による翻訳効率の変化は、codon usageのバイアスだけじゃなくてmRNAのフォールディングの変化が関係するという説が最近出ているようですね。

さっと拾い読みしただけで内容を読み込んでませんけど、
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.0909910107

これはまた別の話だとおもいますけど、開始ATGの次のヌクレオチドの置換による翻訳効率の低下(たぶん翻訳開始コンセンサスからの逸脱)


いずれにせよ、翻訳開始コドンの近傍の塩基置換の影響が大きいようですが、あなたの変異はどのあたり?

(無題) 削除/引用
No.11327-9 - 2023/04/03 (月) 14:43:42 - toto
18時間のCHXチェイスだと多くの蛋白の発現量に影響を与えるので、方法としてあまり適切ではなさそうですが、いずれにしてもMG132やクロロキン処理で、ポジコンは増えるけれど、効果ないのであれば、たしかに分解系の作用で減ってるのではないですね。
となると翻訳か、転写しかなさそうですが、転写が一箇所のコドンの変化で半減することは、相当レアで、とりあえずは除いて考えてもいいのではないかな。仮にミスフォールドするならば飜訳レベルでeIF2aのリン酸化から飜訳停止になりますが、特定の蛋白だけとめるわけにはいかず細胞がかなり弱るので、これはわかります。
他に、理屈としては、小さい蛋白であれば細胞外に放出されるということもありえますが、そのunconventional secretionの効率は大変低いので、量が減るほどはないのが普通です。
あとは、結合相手が変化することで、例えば、細胞質蛋白なら膜に結合しやすくなるとか、どこかにconfineされるとかの可能性でしょうか。

(無題) 削除/引用
No.11327-8 - 2023/04/03 (月) 06:38:21 - おお
私が考えている metabolismは、変異によるスプライシング異常や、UTRにコードされたRNA安定性、局在、翻訳抑制など、漠然としたものも含めた話です。アクチノマイシンが有用なものもあるでしょうけど、それが王道ということでもないとおもいます。ベクターを使って発現させているならスプライシングは関係ないですし、UTRによる制御は関係ない訳で(絶対にそういう配列がCDSにない保証は無いけど)、ですから患者由来の細胞だったのか聞いてみたしだいです。

RIを使わないパルスチェイスは、ラベルできるアミノ酸を培地に一定期間加えて、あるタイミングでラベルして検出するというもので複数のやり方があります、

www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcell.2021.722560/full
www.researchgate.net/figure/Schematic-of-pulse-chase-experiments-using-Copper-Catalyzed-Azide-Alkyne-Cycloaddition_fig1_303834949
www.neb.com/applications/cellular-analysis/pulse-chase

(無題) 削除/引用
No.11327-7 - 2023/04/02 (日) 15:36:43 - CHX
G25様、

早速のコメントをお寄せくださり、ありがとうございます。

患者さんで見つかったゲノム変異は点変異でして、アミノ酸置換を伴うミスセンス変異です。

> rare codonにかわったら、分解とは関係なく翻訳効率の低下でタンパク質量が減る可能性があります。

ありがとうございます。
codon frequencyを調べてみましたら、変異の結果アルギニンをコードするCGCになりますが、アルギニンに対応する4つのコドンの中で二番目に頻度の高いものでしたので、レアコドンというわけではないのかなと考えています。

ですが、気にしていなかった点でしたので、気付きを与えてくださりありがとうございます。

(無題) 削除/引用
No.11327-6 - 2023/04/02 (日) 15:29:57 - CHX
おお先生

早速コメントをお寄せくださり、ありがとうございます。
心から感謝しております。
なるほど、stabilizing mutationというタームで調べるとよかったのですね。
ありがとうございます。

p53やbeta-cateninでそのような例があるとのこと、論文も教えてくださりありがとうございます。
論文拝見したところ、いずれもタンパク質の安定化ゆえに発現量は野生型のものに比べて大きくなっているようです。その後にお示しいただいたMycの例でもそのようでした。

> そもそも変異体の発現が少ないのですよね。それは患者や患者からの細胞の話ですか?

元々は患者さんで見つかった変異で、機能欠失型変異と考えられています。
ただ一例しか見つかっておらず、また臨床サンプルを患者様からいただけない事情があり、私どもの研究室ではそのノックインマウスを作製しました。ノックインヘテロでは無症状、ノックインホモは胎生致死(E14.5)でした。死ぬ前の胎生時期マウスからサンプルを調製しウエスタンを行ったところ、ノックインホモではそのタンパク質が予想外にも検出されませんでした。

そこでプラスミドを作製し、野生型と変異型(ミスセンス変異です)を293Tに過剰発現させると、変異型では再現性良く50%程度しかその発現はみられませんでした。

そこで蛋白質分解が亢進していることを予想し、chroloquineやMG132処理をしてみましたが、発現減少を防ぐことができませんでした。念の為、シクロヘキシミド処理により半減期が短縮していることを示そうとしたのですが、予想に反して半減期の大幅な延長が認められたというのが昨日の結果でした。
シクロヘキシミド実験の再現性は現在検証中です。

> 変異によってRNA metabolismが変わったと言う可能性はないですか?

死ぬ前の胎生時期マウスからRNAサンプルを調製しbulk RNA seqを行ったところ、ノックインホモでは野生型の2割程度減少しているだけでした。RNA metabolism実験ですと、アクチノマイシンDを使う実験ですよね。一度、計画してみます。

また、パルスチェイスは聞いたことがありますが、当方所属機関では非RIでの実験を行うことが言われていますので、難しいです。

ですが、大変ためになりました。ありがとうございます。

(無題) 削除/引用
No.11327-5 - 2023/04/02 (日) 09:59:17 - おお
その他変異が安定性に寄与する例
doi.org/10.1093/emboj/18.3.717
遺伝子は Myc

doi.org/10.1038/onc.2016.493
遺伝子はPTEN

(無題) 削除/引用
No.11327-4 - 2023/04/01 (土) 22:04:52 - G25
たとえばmissense mutation であってもrare codonにかわったら、分解とは関係なく翻訳効率の低下でタンパク質量が減る可能性があります。

(無題) 削除/引用
No.11327-3 - 2023/04/01 (土) 21:59:25 - G25
点変異のスペクトラムは?
missense, nonsense, その他?

(無題) 削除/引用
No.11327-2 - 2023/04/01 (土) 21:11:14 - おお
p53は変異により安定化ししますが、変異により失活します。失活した変異p53は正常のものと同様に4量体を作りますが、正常と変異体のヘテロの4量体を作った時変異体の失活した立体構造が伝播し、正常体も活性を失います。

その他検索してみると
PMCID: PMC2435117
Stabilizing mutation of CTNNB1/beta-catenin and protein accumulation analyzed in a large series of parathyroid tumors of Swedish patients

CHXは色々細胞にえいきょうを与えるので、昔はタンパク半減期を調べるのはRIラベルのパルスチェイスをするべきだと言われてました。NoneRIのパルスチェイスなども考案されていたと思いますが、使った事はありませんので細かい事は書きません。

そもそも変異体の発現が少ないのですよね。それは患者や患者からの細胞の話ですか?変異によってRNA metabolismが変わったと言う可能性はないですか。

シクロへキシミド効果について 削除/引用
No.11327-1 - 2023/04/01 (土) 19:35:47 - CHX
いつも勉強させていただいております。
私は今、あるタンパク質の点変異の効果を調べています。
その点変異を持つとタンパク質の発現量が大幅に減ることがわかっています。

そこでタンパク質の半減期を調べるために野生型もしくは変異型を発現する細胞に対して、シクロへキシミド処理をし、その時点で発現しているタンパク質の安定性を評価しました。予想としては点変異があるとより速やかに分解されると仮説を持っています。

ところが結果は全くの逆になり、野生型は18時間で約半分の発現量になるのに対し、変異型では18時間が経っても10%程度しか減少していませんでした。

この結果は予想に反するもので、その変異があるとタンパク質の超安定化?を引き起こしいているのではと思えてきました。それにより機能欠失という例というのは、調べ方が悪いのか聞いたことがありません。

皆様の中で、そのような例をご存知の方がいらっしゃいましたらご教示いただけませんでしょうか?

なお、MG132やクロロキン処理でもその変異体の発現量は変わりませんでした。
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