発現量に関していろいろと言われていることがあります。まず、配列がながければ収量としては不利になります。また、コドンがどこまで大腸菌が使いやすいように選ばれているかという事も一つの要因と挙げられています。コドンの最適化やレアコドンにたいしてのtRNAを強制発現させた株を使ってそういうのを解消するという方法も存在します。加えてそのタンパクの発現により大腸菌の生理状態が乱れタンパク発現が低下するといったこともあります。実際に大腸菌のタンパク合成構成因子の無細胞系で発現させることにより回避できることもあるようです。
わたしは不溶性と発現量は直接的な関係はないと思っています(ただし、毒性があるものはInclusion bodyになりやすいという話はありますけど)。不溶性は構造が適切に取れるかの問題だと思うからです。発現量(翻訳速度を下げたり)を下げることで不溶画分に行かないようにするという発想はあるにはあります(翻訳中の近くにあるタンパク質同士があぐったりするのが防げるとか)。不溶画分にタンパクを大量に抱え込むので、不溶画分を回収することによりより精製度を上げることができるといった手法もあります。Renatureが簡単なもの、確立されているものであればこの方法はかなり有効です。
と全体的に考えを書いてみて、不溶画分に行くのは一つの可能性として大腸菌がそのタンパクを発現することによるストレスの回避の可能性という話は推測としてあるかもしれません。 |
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