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CRISPRスクリーニングについての素朴な疑問 トピック削除
No.11240-TOPIC - 2023/02/28 (火) 23:08:57 - クリスプ
いつも勉強させていただいてます!

論文を読んでいて、ゲノムワイドCRISPRスクリーニングを試してみたいなと考えてる学生です。
素朴な疑問があり、教えていただけると嬉しいです。

細胞に毒性を示す毒素があります。その毒素への感受性を規定する遺伝子を探すため、その細胞にKOライブラリを導入し、その後に毒素に暴露させ、抵抗性を示す細胞コロニーを生やしたdishからごっそり細胞をはがしたのち、ゲノムを抽出し、それらが持つsgRNA配列を次世代シークエンサーで同定するという内容です。2017年の論文です。

ふとした疑問ですが、たとえば10 cm dishのスケールでその実験を行ったとき、せいぜい10個くらいのコロニーができた場合には次世代シークエンサーは使わず、個々のコロニーからゲノムをそれぞれ単離してPCRしてサンガーシークエンスすればよいのでは?(その方がコストも低く、次世代シークエンサーを扱ったことのない自分でも同定できるのでは)と思っています。

が、実際そのようにされてる論文はみたところ無かったです。
なにか問題でもあるのでしょうか?

教えていただけると嬉しいです。
 
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5件 ( 1 〜 5 )  前 | 次  1/ 1. /1


(無題) 削除/引用
No.11240-5 - 2023/03/03 (金) 19:42:41 - asan


ちなみに、完全なバルクで従来通り処理しないCRISPRを用いたスクリーニングもされてます。例えば以下の論文。中を読めば、著者らがどのような考えでスクリーニングを行ってるかもわかります。

Genome-Scale CRISPR Screening in Human Intestinal Organoids Identifies Drivers of TGF-β Resistance
Cell stem cells, Volume 26, Issue 3, 5 March 2020, Pages 431-440.e8

(無題) 削除/引用
No.11240-4 - 2023/03/03 (金) 19:33:44 - asan


それでもいいです。実際、DNAライブラリーによるGene expressionスクリーニングはそのような形で行われています。古典的にはコロニー形性能でWernbergらがRASの変異を取った時もやり方としては似たようなもんで、当時リン酸カルシウムでの遺伝子導入ができるようになった時代に先駆けて行われた手法です。

CRISPRによるゲノムワイドスクリーニングは、主にレンチウイルスベクターによるノックダウンスクリーニングの手法を元に作られてます。処理後に生き残ってきたものを取得して同定することで関与が疑われる遺伝子やその変化を同定する手法をポジティブセレクションと言いますが、陽性クローンが人力で処理できるぐらい少ないものであること、またはセレクションのキレ(陽性ー偽陽性)の差が綺麗に出るような系であればダイレクトシーケンスで確かなものを同定するほうが確かに早いです。

一方で、ノックダウンライブラリーをバルクでさせて処理するアプローチは、あくまでバルク処理を統計的に扱うことを強みにしてるためやや選択性に欠けることと、shRNAの原理上同じように感染してもその配列の良し悪しでノックダウンの効果に差が出ることなどの課題もありました。CRISPRスクリーニング以前にもHaploid細胞と薬剤処理などによるランダムスクリーニングはおこなわれていましたが、CRISPRによってそれを二倍体の真核生物でも十分の落とせることを実証したことで利用が広がった感があります。ただ、それでもsgRNAの効果にばらつきがあり、それを複数のsgRNAをまぜることで統計的に有意差を出すことを前提に組んでるのでライブラリー感染から生じたクローンを個別に見るよりも、統計上十分なスケースで有意差を抽出することでアンバイアスに行うアプローチが一般的になったと思われます。バイオインフォの流行りもあって、0-100の結果出なくてもパスェイ解析などで高次元の議論をする展開もできます。

あとは、対象としてる現象自体がそもそも0-100の性質を前提した候補分子を取ってない可能性もあります。変異によって獲得する変異が0-100の強度である保証はないし、コロニーに見えて耐性を獲得した集団が、単一クローン由来である必要もないです。あくまで全体に優位差があれば統計的に議論できるのがこの手のバルクスクリーニングの強みの一つです。逆に言えば、バルクノイズも増えるので確実な陽性変異を得られるかどうかはきちんと実験計画の段階からスケールのコントーロールをしっかり取って統計的に有意義な議論ができるようなデータ取得をしないとよくわからない結果になりがちです。

(無題) 削除/引用
No.11240-3 - 2023/03/01 (水) 07:54:17 - おお
むかしは、クローンをとってそれぞれ調べるしか手段がなかったのそうしていました(CRISPRの系とは限りませんが)。ただし一つのクローンに複数のものが入っていてそのうちのいくつかは全く関係のないものの可能性がありますから、2次、3次のスクリーニングをしたり、レンチ等ならMOIを1以下にしてライブラリーの独立クローン数をスクリーニングできるように数こなすなど工夫がなさたりしています。そういえばアレイになっていて1ウェル1つを解析するようにしていてロボットで2、3万ウェルこなしてしまうというやり方もありますね。

CRISPRスクリーニングなどで細胞を単離したりせずに生き残ったものからいきなり次世代シークエンサーという系は確かに発表されていますが上記のようなスクリーニングを見てきたものからすると結構無理やりだなぁというきもします。メリットは薬剤耐性などでしたら処理後細胞を増やそうとしても生きていてもクローンまでに至らないとかそういったたぐいのものも救えそうなので幅広いスクリーニングができそうですし、複数の遺伝子が働くことにより起きるフェのタイプも導入効率を工夫すればできそうです。ただやっぱちょっと強引に感じるなぁと。2次スクリーニングぐらいまではしないのかしら。

(無題) 削除/引用
No.11240-2 - 2023/03/01 (水) 00:41:35 - 独り言
その毒素の耐性が、原因遺伝子がたった一つであるという、そんな保証はないですよね。
できないとは言いませんが、他の遺伝子の欠損でも間接的にたまたま耐性クローンとして増殖可能になる場合(毒素の受容体ではなく、増殖を増やすとか、その受容体の合成・修飾酵素とか、無関係な代謝経路や転写因子の活性化でまかなえたとか)、どうなるでしょう。

10クローンで目的遺伝子がでてくればもちろん良いですが。
クローンからgRNA領域をPCRしてシークエンスするまでの過程に1クローン1000円かかるとしたら、10個なら1万円で済みますが、10個程度だとトップランクの一つの遺伝子しか拾えない可能性が高いです(これが直接的な原因遺伝子とは限らない)(そんな簡単にスクリーニングがうまくいくことは期待しないほうがいい)。
100個ならまだ10万円で済みますが、なかなかの労力です。
1000個ならトップ10あたりの遺伝子を拾えますが、100万円かかってしまいます。

NGSなら、外注でも探せば20−40万円で、数千万個のクローンを網羅的に読めて、濃縮したgRNAのトップランキング1000位ぐらいを簡単に出せ(実際には100位以内ぐらいから探すかも)、その中からあたりを探すことができます。
さらに、原因受容体だけでなく、その受容体が機能する経路などの他の因子も包括的に解明できる可能性もあります。

労力もしかり、うまくいけば情報量はとてつもなく深く、価格も圧倒的にNGSのほうがお買い得となります。
確実に原因遺伝子を取りたいのであれば、
NGSをわからないという理由で、NGSをやらないのは、とてももったいないでしょう。

CRISPRスクリーニングについての素朴な疑問 削除/引用
No.11240-1 - 2023/02/28 (火) 23:08:57 - クリスプ
いつも勉強させていただいてます!

論文を読んでいて、ゲノムワイドCRISPRスクリーニングを試してみたいなと考えてる学生です。
素朴な疑問があり、教えていただけると嬉しいです。

細胞に毒性を示す毒素があります。その毒素への感受性を規定する遺伝子を探すため、その細胞にKOライブラリを導入し、その後に毒素に暴露させ、抵抗性を示す細胞コロニーを生やしたdishからごっそり細胞をはがしたのち、ゲノムを抽出し、それらが持つsgRNA配列を次世代シークエンサーで同定するという内容です。2017年の論文です。

ふとした疑問ですが、たとえば10 cm dishのスケールでその実験を行ったとき、せいぜい10個くらいのコロニーができた場合には次世代シークエンサーは使わず、個々のコロニーからゲノムをそれぞれ単離してPCRしてサンガーシークエンスすればよいのでは?(その方がコストも低く、次世代シークエンサーを扱ったことのない自分でも同定できるのでは)と思っています。

が、実際そのようにされてる論文はみたところ無かったです。
なにか問題でもあるのでしょうか?

教えていただけると嬉しいです。

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