>[Re:1] サンガーシーケンスについてさんは書きました :
> サンガーシーケンスでのシーケンスの場合、なぜプライマー末端から数塩基はシグナルが乱れるのですか?
この答えは、おおさんが書いてある
”低分子領域は分解能が低すぎます。”
が答えです。RIを使用したアクリルアミドを使用した平板ゲルの時は実際にはそこは問題にはなっていませんでした。蛍光を利用した自動シークエンサーではじめて出てきた問題ですが、そこは欲しい領域では無いので、ほぼ問題としては認識されていません。
> また同じヌクレオチドが続く場合も、シグナル乱れやすく、エラー率が高くなる理由について教えてください
これ、授業か何かの課題の回答を求められているのかと思って返信を躊躇したんですが、そんな問題を出す人は日本には居ないと思ったので回答します。
まず、質問が間違っています。同一の塩基が続いても、"鋳型DNAがplasmid"なら、シグナル強度は弱くなりますが数百塩基でもキレイに読めます。実データとしてはcDNAのpolyAを読めているデータがあると思うので探してみてください。個人的な経験としては、ほぼ600 baseを(T)が続いたデータを取ったことがあります(泣)。
同一の塩基が続いてシグナルが乱れるのは、"鋳型DNAがPCR産物"の時です。このPCR産物は、mRNAからのdirect PCRでもcolony PCRでも同じです。PCRの特性として、同一塩基が続いた場合、一般的にそれが7塩基以上の時は、ポリメラーゼスリッページ(polymerase slippage)という現象が起こります。そのため、その部分の複製に間違い(長短)が起きやすいためで、PCR産物がその部分だけ塩基数でヘテロな状態になるため、シグナル乱れやすく、エラー率が高くなります。
polymerase slippageはTaq系だけでなくPfu系の酵素でも起きるので、酵素の特性(exo活性を持つかどうか)では無く、PCRのsystemの問題だと考えられています。なので、反応系をいくらいじくっても改良は見込めません。 |
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