マウスの脳は、水分量が多いので難易度が高いといわれています。「グチャッとなってしまう」ときのポイントをいくつか書きますので、参考になったら幸いです。たぶん4が一番重要です。
1)サンプル処理
スクロース置換はしていますか?マウスの脳の大きさ、興味のある領域などにもよりますが、スクロース置換が有効なことがあります。ほんのわずかに弾力が出る気がしています。私は脳室周囲の領域を観察したかったので、10% o/n、20% o/n、30% 3hでちょうどよかった記憶があります。
2)包埋
コンパウンドに包埋するときは、よく水分を切ってからカセットに入れて、OCTを注いでました。どうもサンプルとOCTの間に砂糖水が残っていると、セクショニングしたときに、その部分から割れて剥がれてしまうような印象があります。つまり、脳だけが切り絵のように切り抜かれてロールしてしまって取り返しがつかなくなってしまうのです。
脳表面が関心領域のときは不適切かもしれませんが、私の同僚は重ねたキムワイプの上を転がして「こうやって乾燥させると、OCTの足付きが良くなるんや!」と言っていました。
3)刃の扱い
面出しと切片作成に使う部分はわけてますよね…? 意外と切れ味はすぐに落ちるので、要注意です。
4)アンチローラー
使いません。あれは調整が結構シビアなのと、共同で使っている場合、誰かが傷をつけたり、ゴミが付いていたりして、まともに機能しなくなっていることがあるからです。右手でハンドルを回しながら、速度を同調させた左手の筆で引っ張ると良いでしょう。筆は穂先が長すぎると使い勝手が悪いので、私は自分で切ってました。これは練習が必要です。
5)庫内温度
これも重要なファクターです。私は−17か−18度でやってました。吐息が庫内に入ると湿度も温度も狂ってしまうので、マスク着用をおすすめします。日によって1度くらいは適温は変わります。
6)霜取り
ライカのであれば、よっっぽど古いものでない限り、夜中に霜取りがスケジュールされているはずです。念の為確認を。 |
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