私も漏れ込みは否定できないと思います。
またバックグランドに関してはあまり決めつけないほうがよろしいかと。たとえば抗体のなかにはスペシフィクと同じくらいの強さでノンスペが検出されるものもあるのですから通常のコンディションでノンスペがなさそうな抗体でも感度を10倍にすると見えてくるものがあってもおかしくはないですし。
また非常に強いシグナルの近傍はその光に照らされているわけでそれが隣のレーンのシグナルを底上げしているでしょうから、従来SN比の範囲内の見えないシグナルも見えて来るというのもあるでしょう(この場合確かにだからノンスペだとは言い切れませんが)。
これらのことから総じて、やはりレーンを一つ開けるなど対策をしたほうがいいと私も思います。
くわえて、KOでごくまれに問題になるのが、Alternative initiation siteです。しかしながら今回のケースで発現は相当弱く細胞内でそういうものがWTに比べてどの程度役割を果たしているのかと、しかもAlternative initiation siteなら一部配列も違うわけですし。また、KOのかわりにKDで実験することもあります。70から80%のKD効率でかなりの実験が成り立っているのも事実です。また生理的にあまり役割を果たしてないときそのタンパクの発現はどの程度なのか、一概にこうだと言い切ることは難しいですけど、細胞を刺激したりして何らかの機能を発揮するようなとき、WBで刺激前、刺激後で比較することはあると思いますが、全くバンドがないところから刺激後バンドが現れるということは殆どないと思います。
他の可能性ですが、細胞がヘテロになっている可能性でしょう。余裕があればクローン化して遺伝子的に均一の集団をえる。もちろんがん細胞なら特に一度均一にしても染色体レベルで変化があるでしょうけど、ない遺伝子が発生するというのは修復的機能(すでに指摘がありますが)が使われない限りないわけです。
また完全に言えるかどうかわかりませんが、配列の確認やWT特異的にプライマーを設定できるなら、あなたのKO株のGenomicなどをPCRして有無を確認する手も取れなくはないでしょう。
もやもやするのはわかりますが、わたしならその細胞株をつかって実験毎に発現をチェックしながら実験します。完璧なKOを作るのが目的というより、遺伝子がないと言ってもいいような状態でその遺伝子の生理的役割を解明するのが目的ですよね。もちろん実験によっては完全にKOと言えない系であれば成り立たないこともあるかもしれません。
ご自身の判断におまかせします。 |
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