私も素人ですが、学生の時生化学で習った知識を動員して書くと、まずROSはすごく不安定ですぐに周りのものと反応するので、蓄積とかの概念は当てはまらないです。産生されたら即他の分子と反応して消えるみたいなイメージに近いです。過酸化水素は(市販品があることからもわかるように)例外的に安定ですが、それでも遷移金属があると反応して分解します。この時、強力なROSであるOHラジカルが生じますが、これはほぼ瞬時(数十ナノ秒)に周り分子と反応して消えます。ですのでH2O2以外は産生部位から離れたところにある分子に対してはそもそもそこまで届く前に多くは消えるように思います。培地に含まれる血清中には抗酸化タンパク質であるアルブミンが大量にあるのでこれがさらに障害物になるような気がします。
ROSは、あくまでも構造も性質も異なる多くの分子の総称であり単一の分子の名前ではありません。なので、ROSにはいろんなものがあるので、産生されるのがどのようなROSなのかも大切と思います。
ROSと直接反応するプローブはありますが、それは産生部位付近のところのROSを検出するのであって、ROSの特性を考えると培地中に出てきたものは難しいように思います。
なので、ROSを測るというよりもROSと反応して変化した分子(DNA, 脂質やタンパク質)の傷(酸化損傷)を測定することで間接的にROSの程度を知るというのが昔からよく行われています。 |
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