dominant LOFというのは聞き慣れないですが、dominant negativeと同じ意味なんですかね。dominant LOFにせよdominant negativeせよ、私は好きな表現ではないです。dominant negativeなんて使われ始めたのが90年代の新参者。意味的には1930年代にMullerが提唱したアリル分類のうちのanitmorphを、あまり洗練されていない表現ではない言い換えたに過ぎないじゃないかと当時から思っていました。なので、あえてantimorphという言葉を使います。
antimorphは野生型アリルの機能を妨げることで機能喪失型の表現型を起こすものです。したがって野生型アリルとヘテロ接合になった場合に変異型表現型が現れるので、優性 dominant になるわけです。
その点、野生型の遺伝子量が不足するために、見かけ上、優性(pseudodominat)になるhaploinsufficientはは明確に違います。
antimorphは野生型と量的な拮抗関係があり、
m/+ (mは mutant allele)で現れる変異型表現型は、+の遺伝子量が増えると弱まり、mの遺伝子量が増えると増強されます(転座、重複、あるいは近年では遺伝子導入で遺伝子量の変更したショウジョウバエなどの実験から)。
antimorphのホモ接合は表現型がひどくなる場合もあれば、劣性致死の場合もあります。劣性致死になるのは変異アリルが生存に必須な本来の機能を完全に失っていて、ただ野生型の邪魔をするだけになっている場合など。
hoploinsufficientの場合、m/+の変異表現型は+の遺伝子量が増えると復帰しますが、mの遺伝子量が増えても増悪しませんのでantimorphとは異なります。
antimorphと親和性の高い遺伝子は、産物がホモオリゴマーやホモポリマーになって機能するもの。
身近な例として、ヒトのアルコール耐性に関与するアルデヒドデヒドロゲナーゼのALDH2を挙げましょう。産物はホモテトラマーで機能する酵素で、野生型のモノマーが存在してもアミノ酸置換で酵素としての機能を失ったモノマーが混じると活性を失います。
>1/5ほどにバンド強度が減弱していますので一見実験が成功しているかに見えるのですが、
変異アリルがあるために野生型の産物の量が減るということですか?
あり得ると思うけど、メカニズムの適当な例がいますぐ思い浮かばない。
ホモオリゴマー形成するようなタンパク質ですか? |
|