Bio Technical フォーラム

  • バイオ関連の実験をする上での、試薬、機器、プロトコールなどの情報交換の場です。
  • 新しいテーマで話を始める場合、質問をする場合は「新しいトピックを作る」から書き込みをしてください。
  • 質問に対して解答できる方は是非、書き込んで下さい。
  • このフォーラムにふさわしくないと管理人が判断した投稿は予告なく削除します。

新しいトピックを作る | トピック一覧 | 研究留学ネットに戻る

ひとつ前のフォーラム(readのみ)

このスレッドをはてなブックマークに追加このスレッドをはてなブックマークに追加

大腸菌によるタンパク質合成 トピック削除
No.10650-TOPIC - 2022/07/22 (金) 13:23:35 - 島田
何種類かのたんぱく質をpGEXベクターに入れて大腸菌(BL21)にトランスフォームして37度で振盪培養し、OD600=0.4になったら0.4mM IPTGを加えて37℃で2h培養して、sonicationしてsupやpptでの発現をCBBで見ました。
その結果、予想していた分子量に一定量発現したもの、予想していなかった分子量に発現したもの、発現がほとんど見られなかったものに分かれました。

これから発現する条件を特定して、ラージスケールで発現させたいと考えています。大腸菌初心者で基本的なことが分からないので、これからどうするかについて、教えていただきたいことがあります。

@pptに行ったものについてはIPTG添加後に18℃に落として、培養時間をある程度振ってsupに移らないか調べたいと思います。1つ疑問なのは、1mLのスケールでチューブで培養した場合と、1Lとかのスケールで羽根つきフラスコで培養した場合で、増殖速度とかが変わりそうな感じがします。スモールスケールで特定した培養条件ってラージスケールに移してもある程度保存されているものなのでしょうか

A発現が見られなかったものは、IPTGを加えたもののほうが、加えなかったものより大腸菌の沈殿が小さかったです。そのことから、タンパク質の発現が増殖を阻害しているのかなと思い、回収時のOD600がより大きくなった状態で誘導をかけようと考えているのですが、そんな単純な話ではないのでしょうか?皆さんは発現がほとんど見られない場合にどのようにしていますか?誘導時の菌量や誘導時間、大腸菌の株以外に操作している条件はありますでしょうか?

B目的のタンパク質と違う分子量の位置に強いバンドが見られる場合、どのようなことが起きている可能性があるでしょうか?

基本的なことや抽象的なことで申し訳ないのですが、教えていただけますと幸いです
 
- このトピックにメッセージを投稿する -



8件 ( 1 〜 8 )  前 | 次  1/ 1. /1


(無題) 削除/引用
No.10650-8 - 2022/08/15 (月) 16:02:52 - 島田
みなさん、

さまざまな可能性についてご丁寧に教えてくださりありがとうございました。
もう少し配列をよく見直してみます

(無題) 削除/引用
No.10650-7 - 2022/08/02 (火) 18:40:32 - がぁが
島田 さま

異常な翻訳産物が出来ていても、正常な目的タンパク質も少しは産生されている場合が多いと思います。微量でも得られれば良いのであれば、それを精製することを考えます。しかし、まずは、その異常な移動度のバンドが何なのか確認しないと、やる気にもならないし、苦労して精製しても骨折り損になりかねませんね。

ウェスタンが一般的かと思いますが、私の場合は、今は、バンドのゲル内消化とMALDI-TOF MSで調べています(使用料なしで使える環境にあるので)。

下流のMetから翻訳開始されたものが生じた際は、塩基配列を確認すると下流のATGのすぐ上流側にSD配列様の配列があったので、これをコードするアミノ酸配列を変えずに変異させたところ、確かに下流からの翻訳産物は消失しました。しかし、目的とする上流からの翻訳産物の収量は向上しませんでした。

(無題) 削除/引用
No.10650-6 - 2022/08/02 (火) 09:39:12 - zam
> Bに関して、思ったように翻訳されずに、違うサイズの産物ができた場合はみなさんはどのように解決されているのでしょうか?
> 誘導後の温度などの条件を変えると翻訳のされ方なども変わってくるのでしょうか?
> それとも配列などから変えないといけないのでしょうか?


A. 原因から対策を考える

・目的遺伝子のORFに低頻度コドンクラスターやGCリッチ領域があると、そこで翻訳が終結したり、翻訳異常が起こる可能性があります
⇒コドン最適化やコドンの同義置換。

・(ORFをPCRで増幅してプラスミドに入れた場合)、シングルコロニーを突いたつもりがシングルコロニーではなかった。たまにそういう人がいます。当たりクローンと外れクローン(ORFエラー)が共存しています。ORFのサンガーシーケンスの波形に複数ピークが見つかることがあります。
⇒ストリーキングによるリクローニング。

・シングルコロニーではあるが、複数のプラスミドを持つ場合が稀にあります(この掲示板でもプラスミドの不和合性に関する議論がありました)。特に複数の選択圧が存在する場合に起こる可能性があります。こちらも当たりクローンと外れクローンが共存しており、ORFのサンガーシーケンスの波形に複数ピークが見つかることがあります。
⇒再トランスフォーメーション。

・目的タンパク質によっては、宿主によって切断や分解されてしまうことがあります。
⇒宿主をBL21以外の大腸菌に変える。大腸菌以外の宿主も検討してみる。

・目的タンパク質が本来細胞外タンパク質である場合、大腸菌内に発現させると還元状態に留まるために、ある種のモルテングロビューラー状態のままなので、分解される可能性もあります。
⇒宿主の生物種を酵母、バキュロ、哺乳(CHO、293)などにして、培地への分泌型として発現させる。

・低温で誘導するとシャペロン等がワークせずに異常タンパクが生じる可能性もあります(18℃であればこれは気にしなくてよいかもしれませんが……)。
⇒25℃で誘導。あるいは宿主の生物種を変えてみる。


B. 結果から対策を考える

他の方の回答にもあるように、とにかく精製してしまうというのが、実際的でよいかもしれません。
その前に、一度ウェスタンで確認した方がよいと思います。適当な抗体がなくてウェスタンができない場合は、間接的ではありますが、たとえばFLAGタグ付きで発現させて、抗FLAG抗体で確認するのがよいかもしれません。

・分子量がある程度異なる産物は、ゲル濾過や限外濾過で分けられます。
・硫安分画で分けられる可能性があります。
・イオン交換で分けられる可能性があります。
・目的タンパクに対するモノクローナル抗体を持っている場合、(特にエピトープがN末寄、あるいは、C末寄のモノクロの場合)、アフィニティー精製で分けられる可能性があります。なおポリクロでアフィニティー精製をすると、複数のエピトープが存在するので、分子量の異なる産物まで拾ってしまう可能性があるので注意が必要です。
・HisタグやFLAGタグ付で発現させて、そちらの精製系が使える場合もあります。
・宿主のプロテアーゼによって分解されている場合は、プロテアーゼカクテルの使用も検討されるとよいでしょう。

他にも、いろいろな精製方法がありえるかもしれません。

(無題) 削除/引用
No.10650-5 - 2022/08/02 (火) 02:13:08 - おお
>[Re:4] 島田さんは書きました :

> Bに関して、思ったように翻訳されずに、違うサイズの産物ができた場合はみなさんはどのように解決されているのでしょうか?
> 誘導後の温度などの条件を変えると翻訳のされ方なども変わってくるのでしょうか?
> それとも配列などから変えないといけないのでしょうか?

違うサイズにでても、プラスミドの配列に間違えがない。C末のタグなどで検出される(精製できる)、できればN末も確認できるなどある程度全長である根拠があればそのまま精製します。SDSPAGEでみれるサイズはときにして当てになりません。

またプラスミドの配列に間違えがないうえ、大多数のクローンで同じ挙動を示すならそれがものであろうという判断は大まか正しいと思ってます。

それでも変だという場合は分解の可能性がありますが、そういう場合は微量でも全長が検出できるのではないかと思います。そのまま力技で全長を精製しても実験に必要量取れればそれはそれでいい。一応プロテアーゼの活性が低減できる条件で誘導するというのもある(低温、最少培地など、大腸菌の株でそういうのもあったかも)。安定なタンパクをTagにつけているとたまにある(GSTとかGFPとか、タグのサイズあたりに結構の量見れる場合がある)。

プラスミドをいじるということに関してはRare codonがあれば変更する。タンパクをコードする領域にSD様配列があってそこから始まったときにできるサイズが観察できると言えるならそのコドンも変更してもいいかもしれません。

原因によっては培養条件の変更ではどうにもならないのである程度絞り込みも必要かも。

(無題) 削除/引用
No.10650-4 - 2022/08/01 (月) 23:42:00 - 島田
お二方ともありがとうございました

加えて1つお伺いしたいことがあります。
Bに関して、思ったように翻訳されずに、違うサイズの産物ができた場合はみなさんはどのように解決されているのでしょうか?
誘導後の温度などの条件を変えると翻訳のされ方なども変わってくるのでしょうか?
それとも配列などから変えないといけないのでしょうか?

(無題) 削除/引用
No.10650-3 - 2022/07/27 (水) 01:58:06 - おお
@スケールをかえると全く同様のOutputと言うわけにはいかないケースは多いと思いますがそのスケールなりに18度にする効果は出てると思います。
温度を下げるということはTranslationの効率などを下げて、Foldingの時間の余裕をあたえたり、たんぱく分子間同士が絡まないようにするなどの効果を期待しているところがあるので合成されるたんぱく総量は減るでしょう。また温度を下げたからと言ってそう効果がないこともよくあります。

A単純な話といえばそうかも知れないしそうでないかもしれない。CBB染色だと思うのですが量を増やして多く流しても大腸菌に本来あるたんぱく質も量が増えるわけだし、CBB染色でバンドが見れるかというはなし。ようするに泳動ですでに流したサンプルを2倍、3倍ながしたら単純に目的のたんぱく質だけが増えて見えるでしょうか? WBはしないのでしょうか。それでたんぱくが合成されているようであればあまりあれこれやらずに必要なスケールアップをして精製してしまうというほうが早い場合がある。とくに必要量が1マイクロぐらむもあればすむなら。

BそのプラスミドをTransformationしたクローンの大多数で同じサイズであるならば、よほどプラスミドが変じゃない限りおそらく目的のものと思われます。大多数といったのはたまに変なクローンが見られる可能性があるからです。むかし学生がクローンを8クローンほど拾ってCBBで発現を確認した際1つだけしっかりと誘導されたたんぱくが見られたのでそのクローンを増やしたけど、目的のたんぱく質を発現していたのはその他のクローンで、染色パターンは大体期待されるサイズあたりを注意深く見るとかろうじてバンドがあることが見れるくらいでした。

(無題) 削除/引用
No.10650-2 - 2022/07/25 (月) 19:15:17 - がぁが
島田 さま

@について、チューブとフラスコでは菌体量あたりの発現量はだいぶ違ってくると思います。経験的には、小スケールで培養した方が多く発現すると感じています。

Aについて、正しい解釈、ご対応だと思います。増殖を阻害するタンパク質の場合、誘導前に十分増殖させてから、IPTGを加えて短時間培養すれば、多くのタンパク質を得やすいです。

Bについて、所定の部位ではなくずっと下流のMetからの翻訳産物が本来の産物に混在することがありました。また、翻訳の途中でリボゾームがスキップ?し、途中から全く異なるアミノ酸配列となりさらに停止コドンが来て短い翻訳産物になることがあります。分解はあまり経験しませんが、N末のMetが除去されるだけでなく、さらに数残基欠損したものが得られたことはあります。目的タンパク質がSDS-PAGEで異常に小さな移動度を示し、分子量にして数万以上大きく見えることもよくあります。また、RNAポリメラーゼ等、誘導時に産生されるタンパク質を目的タンパク質と見誤っている可能性はありませんか?

大腸菌によるタンパク質合成 削除/引用
No.10650-1 - 2022/07/22 (金) 13:23:35 - 島田
何種類かのたんぱく質をpGEXベクターに入れて大腸菌(BL21)にトランスフォームして37度で振盪培養し、OD600=0.4になったら0.4mM IPTGを加えて37℃で2h培養して、sonicationしてsupやpptでの発現をCBBで見ました。
その結果、予想していた分子量に一定量発現したもの、予想していなかった分子量に発現したもの、発現がほとんど見られなかったものに分かれました。

これから発現する条件を特定して、ラージスケールで発現させたいと考えています。大腸菌初心者で基本的なことが分からないので、これからどうするかについて、教えていただきたいことがあります。

@pptに行ったものについてはIPTG添加後に18℃に落として、培養時間をある程度振ってsupに移らないか調べたいと思います。1つ疑問なのは、1mLのスケールでチューブで培養した場合と、1Lとかのスケールで羽根つきフラスコで培養した場合で、増殖速度とかが変わりそうな感じがします。スモールスケールで特定した培養条件ってラージスケールに移してもある程度保存されているものなのでしょうか

A発現が見られなかったものは、IPTGを加えたもののほうが、加えなかったものより大腸菌の沈殿が小さかったです。そのことから、タンパク質の発現が増殖を阻害しているのかなと思い、回収時のOD600がより大きくなった状態で誘導をかけようと考えているのですが、そんな単純な話ではないのでしょうか?皆さんは発現がほとんど見られない場合にどのようにしていますか?誘導時の菌量や誘導時間、大腸菌の株以外に操作している条件はありますでしょうか?

B目的のタンパク質と違う分子量の位置に強いバンドが見られる場合、どのようなことが起きている可能性があるでしょうか?

基本的なことや抽象的なことで申し訳ないのですが、教えていただけますと幸いです

8件 ( 1 〜 8 )  前 | 次  1/ 1. /1


パスワードを入力してチェックした記事を チェックした記事を

このトピックにメッセージを投稿する
名前 
メール   アドレス非公開
   タイトル 
本文      
設定  クッキーを保存(次回の入力の手間を省けます)
上に上げない(トピックの一覧で一番上に移動させません)
解決(問題が解決した際にチェックしてください)
暗証  半角英数字8-12文字の暗証番号を入れると、あとで削除、修正ができます。
送信 

〔使い方〕
  • 「アドレス非公開」をチェックすれば、自分のメールアドレスを公開しないで他の方からメールを受け取れます。
  • 問題が解決した際には、解決ボタンをチェックして解決した旨のコメントをつけてください。これは、初めにトピックを作った人と管理人のみが可能です。
  • 半角カタカナ、機種依存文字(全角ローマ数字、○の中の数字等)は文字化けの原因となりますので使わないでください。